声優の富田美憂が、アニメ「無能なナナ」のOPテーマを担当!物語が進むほどに見えてくる「無能なナナ」と「Broken Sky」の繋がりを語る!

2020年10月03日 | インタビュー


 10月クールの新番組「無能なナナ」のオープニングテーマ「Broken Sky」を歌っているのが、声優の富田美憂さん。彼女は、同アニメに佐々木ユウカ役としても出演中。富田美憂さんがどんな想いを胸に「Broken Sky」を歌ったのか、その胸の内をお伝えします。

オープニング主題歌という言葉に恥じないように頑張らなきゃいけない想いがすごくありました。

──コロナ禍以降、アフレコの収録も制限されました。今も、その状態は変わらずですか?

富田美憂 今も完全には戻ってない状態です。ブースへ入る人数は多くても3人程度。互いのマイクの横にはパーテーションのような仕切りを用意し、極力お互いが接しない環境で収録を行っています。以前の環境で録り進めた中、途中から今の環境へ変わった場合は、まだ以前の雰囲気を覚えているから、共演する方のお芝居や全体の空気感を思い出しつつ進めていけます。でも最初からこの状態で新作のアフレコを始めた場合、お芝居や空気感をつかみにくいから、どうしても探り探りになってしまって経験したことのない難しさを覚えています。何より、みなさんと一緒に録れないのが寂しいですね。

──「無能なナナ」も、今の環境でアフレコを進めているのでしょうか?

富田美憂 「無能なナナ」に関しては、昨年の年末には録り終えていました。だから、みんなで一緒に芝居のやりとりや世界観を感じながら録ることが出来ました。

──そんなに早く制作は進行していたんですね。

富田美憂 放送は2020年10月からと、そこは変わっていませんが、放送に先駆け予定していた計画はなくなってしまいました。

──そこは致し方ないことですが…。美憂さんにも、早い時期からオファーは届いていたんですね。

富田美憂 アニメ「放課後さいころ倶楽部」のオープニングテーマであり、わたしのデビュー曲「Present Moment」を昨年11月に発売した頃に、今回のテーマ曲のオファーをいただきました。なので、今年6月にリリースした2ndシングル「翼と告白」よりも先に「Broken Sky」をレコーディングしていまして、「無能なナナ」のアフレコよりも先に歌録りを終えていました。「Broken Sky」はオープニングを飾る楽曲なので、アニメ作品で最初にみなさんが触れる音楽。そこで観た方の興味を惹く歌を届けたい想いが強くあったので、歌うことが決まってすぐに原作を全巻読みました。アフレコは、作品の世界観を身体に染み込ませた歌入れ後に出来たから、そこはとてもありがたかったなと感じています。

登場するどのキャラクターともリンクしてゆく歌詞になっています。

──「Broken Sky」に綴られたのは、主人公の一人である中島ナナオの心情でしょうか?

富田美憂 主軸は、物語の中心人物となる柊ナナちゃんや中島ナナオくんに置きつつ、登場するいろんなキャラクターともリンクしてゆく歌詞になっています。特徴的なのが、観る話数によっていろんな発見を歌からも出来ること。各話数を観たあとに改めて「Broken Sky」を聞くと、新しい発見をしていただける楽曲だと思いますし、ひと味違った感情がみなさんの中に生まれるんじゃないかと思います。

──「無能なナナ」に登場する人たちみんな、愛らしいキャラクターとは裏腹に、気持ちの内側には違った表情や心情を隠し持っています。そこがいろいろ見えてゆくところが、この作品の面白さだと感じました。

富田美憂 そうなんです。わたしはサスペンスや推理小説が好きなので、「無能なナナ」の原作も「どういう展開に進むのか、犯人は誰なのか」をわたしなりに考えながら読み進めていたんです。良い意味で裏切ってくれる展開がすごく多かったので、その時点ですでに「これがアニメーションになったら、どれだけ面白いんだろう」という期待感が高まっていましたし、予想以上の出来になったとも感じています。
「無能なナナ」の物語が持つサスペンス的な要素の面白さはもちろん、登場するキャラクター一人一人の背景にドラマがあるように、ヒューマンドラマとしても興味をそそられる作品だと思います。

──美憂さんが演じている佐々木ユウカも、表には見えないところで粘着質な性格であるなど、表と裏では異なる顔を見せていきますからね。

富田美憂 「作品を観ながら、ちょっとでもゾワッとしてくれたら嬉しいな」と思いながら演じていました。わたしの演じた役柄に限らず、他のキャラクターを演じている役者さんたち全員が「そのキャラクターの表と裏の顔をどうやって印象深く出せるか」を考えながら演じています。そこにも注目して観てもらえたらと思います。

──物語を観始めようとしている現段階では、「Broken Sky」の歌詞の中、まだ意味をつかみきれてない面もあります。その辺も、話数を重ねるごとに意味がわかってくるということですよね。

富田美憂 そうなっていくと思います。作品自体がとてもミステリアスなように、「Broken Sky」の歌詞にも、そのミステリアスさが反映されています。物語が進むごとに、そこが見えてゆくところも「Broken Sky」の魅力だと思います。

「Broken Sky」を初めて聞いたとき、歌詞の中から滲み出る「孤独感」をすごく印象的に感じました。

──美憂さんは、これまでも多くのキャラクターソングを歌ってきました。そこへ、昨年秋よりアーティストとしての活動も加わりました。本人は、今の環境をどのように捉えています?

富田美憂 1stシングルの「Present Moment」を発売したとき、いろんな地域をまわる形でキャンペーンをさせていただきました。それまでは、キャラクターを背負ってイベントをする機会ばかりだったので、「キャラクターを通してわたしのことを好きになってくれた人はいるかも知れないけど、富田美憂自身を好きでいてくれる人っているのかな?」と正直不安もありました。でも各地へ足を運ぶたび、それこそ中学生の女の子から年配の方までと幅広い層の方々が何処の地域でもわたしの歌を聴きにきてくださいました。そのときに「わたしのことをこんなにもたくさんの人たちが支持してくれているんだ」と感じて、「これからも、いろんな人たちの共感を得る歌い手になりたい」と強く思えました。あの経験がわたしに強い自信を与えてくれましたし、そのときの経験が今も活動してゆくうえでの活力になっています。

──応援してくださる人たちの顔を直接見ると…。

富田美憂 違いますよね。お芝居の楽しさって「いろんな人になれる」ところですけど、それは歌にも言えること。1曲ごとにいろんな表情のわたしを投影していけるように、聞いてくださる方々にも「富田美憂ってこういう歌も歌えるんだ」という発見を何度もしていただける、そんなアーティスト活動をしていきたいなと思っています。

──改めて、「Broken Sky」の聞きどころを教えていただけますか。

富田美憂 「Broken Sky」を初めて聞いたとき、歌詞の中から滲み出る「孤独感」をすごく印象的に感じました。原作でも、無能力(詳しくはアニメで)なヒロインのナナちゃんが作品の中でも孤立している印象だったように、「孤独感がこの作品のキーワード」じゃないかと思い、「どう歌の中にその孤独感を出そうか」と考え始めました。ただ、この歌も作品も、切なさや孤独感だけを描いているわけではなく、そこへ手を差し伸べたくなる気持ちも記されているように、そこをいかに出すかを心がけながら「Broken Sky」を歌いました。その心情を感じていただけたら嬉しく思います。

──「無能なナナ」の見どころも、お願いできますか。

富田美憂 「無能なナナ」は、とても躍動感のあるアニメ作品。内容も、サスペンスだけではなく、そこに描かれる人間ドラマがとても魅力的です。中には、たくさんの人を殺めてしまうキャラクターも出てくるんですけど、そういうキャラクターにも魅力があるので、一人一人の背景も含めてこの作品を楽しんでいただけたらと思います。

恋心ってすごく温かくて尊いものだから、その温もりや希望も込めながら歌いました。

──シングルのC/Wには、切ないバラードの「インソムニア・マーメイド」が収録されていますね。

富田美憂 アーティスト活動を始めたときから「バラードも歌いたい」という想いをスタッフさんに伝えていたところ、念願叶って今回歌わせていただきました。「インソムニア・マーメイド」は失恋の歌。寂しい、悲しい気持ちを歌声の中へ出しつつ、恋心ってすごく温かくて尊いものだと思うので、その温もりや希望も込めながら歌いました。実際、マイナスな感情だけではなくプラスの気持ちも投影したことで、表情豊かな楽曲になりました。聴き終わったあと余韻に浸っていただけたら嬉しいです。

──「インソムニア・マーメイド」に綴られた切ない心模様には、美憂さん自身も共感を覚えながら歌ったのでしょうか。

富田美憂 わたし、こんなにも悲しい失恋をしたことがないので、「インソムニア・マーメイド」は自分の経験にはない歌詞でした。「わたしを探さないで」という言葉一つにしても、あえてはにかむように歌うことでどうしようもない切なさを出すなど、わたしなりに想像を巡らせて、いろいろ心がけながら表現しました。

──登場人物の深い心模様まで探ってゆくところが美憂さんらしいですよね。

富田美憂 アフレコもレコーディングも、その場で心情を表現することに楽しさを覚えています。その役柄や楽曲について「ここはこういう気持ち?」などいろいろ考えを巡らす時間がわたしはすごく好きなんです。それを、お芝居や歌へ反映させることが楽しさでもあるなとわたしは感じています。

ちょうど腰の骨がテーブルの角に当たっていたから、じつは撮影中「痛い、痛い」と言いながら撮っていました(笑)。

──美憂さん、ファッションへのこだわりも強い方ですか?

富田美憂 ファッションは大好きですね。アーティスト活動をしていて嬉しいのが、普段は身につけることのない洋服を着られること。「Broken Sky」でもゴシック系の服を身につけていますが、私服で着ることがないからとても新鮮でした。アーティスト活動って、作品を重ねていけるのも楽しさですけど、同時に、作品ごとにいろんな服を着ることができるのも楽しみの一つだとわたしは感じています。

──「Broken Sky」のジャケット、素敵ですよね。

富田美憂 とても印象的な写真を撮っていただけました。果物やレトロなインテリアも全部本物です。テーブルに寝そべって撮影をするシチュエーションもすごく良かったんですけど。ちょうど腰の骨がテーブルの角に当たっていたので、じつは撮影中「痛い、痛い」と言いながら撮っていました(笑)。ジャケットの表情はキリッとしていますが、その裏側も知ったうえでヴィジュアル面も楽しんでください(笑)。

https://twitter.com/miyustaff/status/1297519206808911873?s=20

──普段の美憂さんは、どういった服装が好みですか?

富田美憂 割とボーイッシュな服装が多いです。アクセサリーも大好きで、毎日違うアクセサリーをつけながらその日のテンションもアゲています(笑)。

──最近は通販で服を買う方も多いですが、美憂さんも通販派?

富田美憂 わたしはお店に足を運び、試着したうえで購入しています。自分で「好き」と思えた服を身につけると気持ちが落ち着きつつ、逆にテンションも上がっていく。だから、流行に関係なく自分で「可愛い」と思った服をいつも着ています。ただ、わたしは足のサイズが21.5cmしかないから、サイズぴったりの靴を買うのが大変。ブーツなら靴紐でまだ調整は可能ですけど、夏場のサンダルでそのサイズは子供用になってしまうから、選ぶ余地がないのはつらいです(笑)。

──自分らしさを貫くところが、美憂さんの生き方なんでしょうね。

富田美憂 それは、お仕事にも通じることなのかもしれませんが、まわりの真似をしていては他と同じになってしまう。だからこそ富田美憂らしさをつねに探しながら演技も歌も活動していますし、そこを確立していきたいと思っています。

──美憂さんが声優になって、もう…。

富田美憂 6年目です。中学生の頃から声優としてお仕事をさせていただいています。当時、まわりは皆お兄さんお姉さんばかりで、現場に行ってもお友達と呼べる方っていなかったんですけど、二十歳になった今、年齢の近い方が増えてきて、ようやく声優のお友達も出来るようになったのが嬉しいです。声優友達の輪は、これからも広げていきたいですね。

──最後に、ひと言お願いします。

富田美憂 今のような時期だからこそ、音楽がみなさんの頑張る糧や希望の光になっていくとわたしは思っています。わたしもネガティブな面があって、そういう気持ちになったときは歌に鼓舞されています。ぜひ、パワフルな「Broken Sky」を聞いて元気になってください!あっ、「無能なナナ」のオープニング映像も是非観てください。とても躍動感のある内容へ仕上がっていて、毎週この映像付きで「Broken Sky」を聞くとテンションもアガると思います!!

TEXT:長澤智典

「Broken Sky」

2020年10月クール放送TVアニメ「無能なナナ」オープニングテーマに決定!
「Broken Sky」
2020.11.11 RELEASE 

【CD 収録内容】
1.Broken Sky
*TV アニメ「無能なナナ」OPテーマ
2.インソムニア・マーメイド
3.Broken Sky(Instrumental)
4.インソムニア・マーメイド(Instrumental)
【DVD 収録内容】
Broken Sky Music Video
Making Movie 


【初回限定盤】CD+DVD
価格:1800円+税 
品番:COZC-


【通常盤】CD ONLY
価格:1200円+税 
品番:COCC- 

富田美憂(とみた みゆ)


11月15日生まれ。アミューズ所属。

代表作:
「アイカツスターズ!」(虹野ゆめ役)
「ガヴリールドロップアウト」(ガヴリール役)
「となりの吸血鬼さん」(ソフィー・トワイライト役)
「メイドインアビス」(リコ役)
「京都寺町三条のホームズ」(真城葵役)
「荒野のコトブキ飛行隊」(チカ役)
「ぼくたちは勉強ができない」(緒方理珠役)
「女子高生の無駄づかい」(山本美波役)
「放課後さいころ倶楽部」(大野翠役)
「ドロヘドロ」(恵比寿役)
「はてな☆イリュージョン」(星里夢未役)
「異種族レビュアーズ」(クリム ヴェール役)
「球詠」(川口息吹役)
「かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~」(伊井野ミコ役)

富田美憂 日本コロムビア公式HP
https://columbia.jp/tomitamiyu/
富田美憂 公式Twitter
@miyju_tomita
富田美憂 STAFF 公式Twitter 
@miyustaff

この記事を書いた人

"音楽を中心に執筆中のライター。「あなたのため」に頑張ります。 twitter @nagasawatomonor Web http://vues.jp/"

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