PAREDの1stミニアルバム「菫」は、自分の色に色濃く染め上げた楽曲揃い。濃度100%の強烈な歌声に聞き惚れろ!

2021年09月16日 | インタビュー


PAREDにとって初となるミニアルバム「菫」を発売。全部で7つのボカロ曲のカバーを収録。どの曲を聞いても、濃度100%のPAREDの歌声が響いてくる。触れたとたん、嬉しいくらいにPAREDまみれになる本作の魅力を、彼の言葉を通してお伝えします。

自分の色に染め上げきれた曲たちを、1stミニアルバムの「菫」に詰め込みました。


──「菫」を聞いたときに感じたのが、PAREDさんの歌声の存在感の強烈さ。どの楽曲でも、玄関の扉を開けたと思ったら勢いよくリビングまで入ってくるどころか、リビングの中央に据えた大きなソファにドーンと座り、その家の家主のような存在感を放ってる…くらい、ものすごく主張の強い歌声ですよね。

PARED この作品には、自分の歌声の可能性を全部詰め込みました。日々成長できているのか、この作品を作りながら、自分でも「あっ、こんな表現も今の自分は出来るんだ」という発見がいろいろとありました。

──どの楽曲もぜひオリジナル曲と聞き比べてほしいんですけど。原曲の良さを活かしつつも、それをなぞらえるのではなく、完全にPARED色へめちゃくちゃ色濃く染め上げていますからね。

PARED 僕がカバーするときに毎回心がけているのが、どれだけ自分が抱いたイメージへ近づけられるか。その中でもとくに自分の色に染め上げきれた曲たちを、1stミニアルバムの「菫」には詰め込みました。ときには、予想と違う色へ染まることもありますけど。

──YouTube上にも、たくさんの「歌ってみた」映像をアップしていますよね。それらはすべて、自分が求めた色へしっかり染め上げた曲たちということですか?

PARED そうです。中には、歌ってみたけど、今の自分ではまだ理想には染め上げきれてないなという曲たちも数多くあります。これまでYouTubeに140曲近くアップしてると思いますが、歌ってみたけど、今は…ということでアップしていない曲たちも加えたら170曲弱は撮っていると思います。

──いくら頭の中で想像はつくと言っても、実際に歌ってみないことには…。

PARED わかりませんよね(笑)。この作品で追求したのが、「自分の個性」。数多く歌ってきた中、その中でもとくに思いきり個性を出せた曲たちをここには並べました。

──オリジナル曲をPARED色に染め上げてゆくうえで心がけていること、そこも知りたいです。

PARED もちろん、一番にあるのはオリジナル曲へのリスペクトです。自分がカバーするときに心がけるのが、「この曲を書いた人は、どういう思いで作ったんだろう」ということ。その真意を自分なりに読み解き、「自分はこう受け取った」という僕なりの解釈のもと、そこで感じた思いを素直に歌声へ乗せています。

日本の場合、オールラウンドで出来る人を目指しますけど。僕は「出来ないことは出来ない。それよりも、自分の得意としていることや、やりたいことを伸ばしたい」と思ってしまう性格。

──収録したどの楽曲も、かなり攻めた歌声ですよね。

PARED かなり攻めましたね(笑)。歌入れのときは、どの楽曲も歌声を前へ前へと出していくように心がけていました。

──結果、原曲の魅力を活かしながらも、どれも異なる色へ染め上げています。そこが、PAREDさんの歌声の持つ個性なんでしょうね。

PARED そう聞こえていたら嬉しいですね。僕自身、歌い手として活動を始めたのは、人よりもけっこう遅い時期でした。それがコンプレックスになってたといいますか、他の人たちより何倍も努力をしないと、いろんな経験を重ねてきた人たちと肩を並べるどころか、追いつくのは大変だぞと思っていました。そこで選んだのが、自分の得意とする部分を伸ばす方法でした。
 例えば、僕自身数学は得意だけど、国語は苦手で。普通なら、そこで国語の勉強を頑張って苦手意識を克服して…となるんでしょうけど。僕は国語の勉強は置いといて、得意の数学を徹底して伸ばす方を選びました。そうすることで自然と、苦手だった国語の部分にもプラスの影響が及べば、結果的に全体のレベルアップにも繋がるんですよね。それは、今も歌を通して突き詰めているスタイルと同じで。結果、自分の色を濃く出せたているなら、そんな嬉しいことはないですからね。

──海外の表現者の場合,得意のスタイルを突き詰めた方が成功を多く手にしている印象があります。とかく日本人は平均を求める印象が少なからずありますもんね。

PARED 日本の場合、オールラウンドで出来る人を目指しますけど。僕は「出来ないことは出来ない。それよりも自分の得意としていることや、やりたいことを伸ばしたい」と思ってしまう性格で、そのスタイルで今の自分を作り上げています。それに、好きなことを追求しているから、どんな作業工程も楽しいんですよ。その「楽しい」をまわりの方々と今は共有出来ていて、すごくいい環境で歌えているなと自分でも感じています。

今の僕には、大きく分けて三つの顔があるんでしょうね。


──「菫」には、PAREDさんが「とくにPARED色を濃く出せた曲たち」を集めたわけですよね。

PARED そうです。活動を始めてから楽曲を配信リリースしてたとはいえ、CDとして音源を形にしたのは、今年2月に出したシングル「Message~ツナガレイノチ~」が初めてで。次はアルバムでも良かったんですけど、僕自身少しずつステップを踏みながら進みたい気持ちがあったから、今回はあえて7曲入りのミニアルバムにしようということで、この形を取りました。
タイトルへ記した「菫」ですが、僕の好きな色が菫(紫)色という理由もありますが、菫色には”個性的な色”という意味があって。この作品を通してPAREDという個性を思いきり出してその色へ染め上げた曲を詰め込んだように、作品のテーマ性と菫という言葉の意味が重なるなと思ったことから、そう名付けました。

──中でもバラード曲へは、かなり濃密にPARED色を詰め込んでいません?

PARED そうなりましたね。ただここへ収録したバラード曲は、どれも演奏がシンプルだからこそ表現が難しいというか…。普通だったら、ここは抜いた声で表現をしていくところでも、僕はかなり攻めた歌い方をしています。そうすることで僕の歌声の色が濃く出るからこそ、そうアプローチをしたわけですけど。僕自身の性格だけで言うなら、攻めた歌声とはまったく真逆。受け答えも柔らかく、だいぶ穏やかです(笑)。

──楽曲を聞いてると、攻めた歌い方や歌声から性格も強気な方という印象を覚えてしまいますが、本当は…。

PARED 何事にもガツガツとは行かない性格ですね。あっ、歌だけは「こうだと信念を持って決めたことは揺るがないし、その意志を貫き通す」ほう。だから、バラードでもガツガツ歌ってしまうわけなんです (笑)。
ただ、普段の自分で初めての方と接してしまうと、「こいつ根暗じゃん」「すごく静かな人だな」という印象を与えてしまう懸念もあるので、なるだけ気持ちも明るいモードで人とは楽しく接しています。それでも歌の印象を持って初めてお会いする方からは、「歌声とは印象が違いますね」と言われたりします(笑)。

──そこへ、気づかい屋なPAREDさんらしさも感じてしまいます。

PARED 今の僕には、大きく分けて三つの顔があるんでしょうね。一つ目が歌っているときの攻めた表情のPARED、二つ目が人と接するときの気さくな姿。そして三つ目は自宅や家族の前でいるときの物静かな自分。あ、でも僕は三男なので、昔から「これ、食べたい」と一度言い出したら親にずっとねだるような頑固な性格だったというか、甘えん坊だったから、そういう面もあるなとは自分なりに分析はしています(笑)。

──その素直さは、歌にも、音楽活動を通して人と接してゆく中にもしっかりと映し出されていますよね。

PARED かなり素直に、自分の気持ちへ正直に生きてますからね(笑)。

僕が「優しい人」を歌う際に心がけたのが、まさに”悲しい歌声の中へ、悔しいなどの黒い感情”を重ね合わせてゆくことでした。


──本作の中で、「これは見事に自分の色に染まりきったな」という曲を一つ上げていただいても良いですか?

PARED 全部がそうですが、あえて一つ上げるなら「優しい人」かな。この曲、とても音数が少ないのでヴォーカルが楽曲全体を引っ張ってゆくような、ヴォーカルがメインとなっている曲で。歌詞は、悲しみに暮れ、心がちょっと落ちてゆくような内容。だから僕も、悲しくて泣いてしまう気持ちで歌ったんですけど、僕自身、この主人公の悲しみの奥底には悔しいという気持ちがあるなと強く感じていました。少しきつい言い方をするなら、人が持つ黒い感情の面が映し出されていたというか。僕が「優しい人」を歌う際に心がけたのは、まさに”悲しい歌声の中に、悔しいなどの黒い感情を重ね合わせてゆくこと”でした。そういう感情を重ねながら主人公の人生を歌ったほうが僕は歌いやすかったし、そこに確実にPAREDとしての色を出せたなとも感じています。

──誰もが、黒い感情を持っていますからね。そこを強調したことも重なり、原曲とはだいぶ異なる色の出た楽曲になりましたよね。

PARED 「優しい人」は、完全に僕の色に染めきれたなと感じています。この曲の歌入れをするときも、自分の持っている世界観を全力で出せるなと思えたし、実際に歌っていても楽しかったです。

──「優しい人」に限らず、黒い感情を重ね合わせたほうが表現しやすいこともあるわけですよね。

PARED ありますね。人は誰しもマイナスな感情を心に抱えているからこそ、そういう感情をしっかり出すことで表現できることがあると思います。先に話した「優しい人」にまつわる話にもなりますが、僕自身、人が良すぎるせいか、人に何度も裏切られた経験があります。そのときは悲しさもあったけど、やっぱり悔しい気持ちのほうが強かったなと思います。それこそ「なんで、こんな仕打ちを受けなきゃいけないんだ」とか。そういう気持ちにも似た感情が重なったことから、「優しい人」を歌うときには悲しみの中へ黒い感情も織り交ぜたんです。

──「臨界ダイバー」のような黒い感情を描き出した歌の場合は、同じようにその感情をストレートに出していくのでしょうか?

PARED そうですね。ちょっと話はずれますけど、「臨界ダイバー」といえばメガテラ・ゼロさんのカバー曲がものすごい再生回数を記録していて有名じゃないですか。もちろん僕も聞いたことはありますし、そもそも原曲が大好きだったから、僕もカバー曲として「臨界ダイバー」を選んだわけですけど。歌うにあたって心がけたのが、メガテロ・ゼロさんの曲を筆頭に、他にカバーしている人たちの楽曲は極力耳に入れないことでした。理由は、カバーした人たちの歌声の個性まで自分が真似をしてしまうと、原曲からインスピレーションを受けて自分なりにカバーをするのではなく、その間に挟んだ、他の歌い手さんの影響までも取り入れてしまうから。そうなると、影響のフィルターが二重にかかってしまう。そうすると、本当に純粋な自分の個性が出にくくなることので、オリジナル曲は聴くけど、それ以外で同じ曲を歌っている人の動画は極力見ないようにしています。そうしたほうが、カバーする楽曲の歌詞や曲調からインスパイアされた想いを元に、純粋な気持ちで歌を解釈していけますし、さきほどの黒い感情じゃないけど、感じたままの思いを自分だけの解釈として歌声に乗せていけますからね。

──だから、PAREDさんこその歌声の色が出るんでしょうね。楽曲によっては、歌詞の解釈が難解な場合もありますよね。

PARED ありますね。それに関しても、「きっと、この人はこう伝えたいんだ」と自分なりに解釈を広げ、そう感じたままの気持ちで歌っています。歌詞によっては、「この歌詞には、こう書いてあるけど、こうも受け取れる」みたいに何通りかの解釈が浮かぶこともあるじゃないですか。そういう歌詞って、きっと作詞をした方も、「いろんな解釈をしてほしい意図を持っているから、そういう表現にしたんじゃないか」と僕は受け止めます。だから僕も、自由に解釈を広めて歌っていくんでしょうね。むしろ自分に関しては、原曲の歌詞の内容を分析していくよりも、その歌詞を読んで自分なりに解釈した気持ちでそのまま歌うことを大切にしています。そのほうが、より自分らしい感情でカバーした曲を歌えて、そうやって解釈した曲たちを並べたのが、この1stミニアルバムの「菫」です。

100%濃いPAREDが詰まった1stミニアルバムの「菫」に触れ、みなさんPAREDの歌に染まってください。


──歌詞の解釈が自分の成長によって変わっていくことも、あることなんですか?

PARED もちろんあります。当時は男女の掛け合いだと思って聞いていた曲が、自分も年齢や経験を重ねていく中、何年ぶりかで聞き返したときに、男女の掛け合いだと思っていたけど、じつは女性はすでに亡くなっていて、その寂しさを埋めるように男性が一人で語りかけていたんだと読み解けたり。歌って、そういうものだとも思うんですよね。今回「菫」へ収録した曲たちも、今の自分が感じた解釈で歌っていますけど、これから何年も人生の経験を重ねていく中で、数年後に触れたときに、そのときの自分の心の成長次第ではより深い、異なる解釈ができる可能性もあるわけですからね。むしろ、その時期その時期の気持ちをこうやって1枚の作品にしっかり閉じ込められたことが、僕にとっては嬉しいこと。今後も、僕がその時期に感じた気持ちで歌った曲たちをパッケージしていけたらなと思っています。

──今回収録した楽曲の中、「これは歌詞に惹かれて歌った」曲があったら、それも教えてください。

PARED 感情移入しやすかったという点で捉えるなら、「ワールド・ランプシェード」は昔から大好きで、すごく聞いてきた楽曲。だから、歌うときも感情移入しやすかったです。この曲、歌詞もすごくいいんです。今回は「ワールド・ランプシェード ~Piano Arrange~」という形で、ピアノアレンジにしたバージョンで収録したんですけど。そのアレンジにしても楽曲の秀逸さが失われることはないどころか、僕の表現の引き出しもあれこれ自由に使えたので、歌ってて本当に楽しかったです。感情移入しやすかったのは、僕の人生と照らしあわせたときに共鳴する思いが強かったという理由もあったと思います。

──完成した1stミニアルバム「菫」、今のPAREDさんにとってどんな1枚になりましたか?

PARED 僕が今思っている感情、それは黒い感情も含め、あらゆる感情に触れた曲たちが並んでいて、今の僕が歌で表現できることをすべて乗せた、PAREDという歌い手の個性を惜しみなく出せた作品になりました。中には、攻めた歌声だけじゃなく、「グレゴリオ」のように澄んだ歌声や、黄昏ている声の表情や淡い声色など、僕が持っているいろんな歌い方の個性も出せて、それを楽しんでもらえる作品になりました。「アイラ~Piano Arrange~」もいいですよね。正直、僕の色に染めきるまで苦労はしたんですけど。だからこそ、こういう染みる曲になったことに嬉しい手応えも感じています。
そして、今後のことを言うなら、いつになるかはわかりませんが、今度はフルアルバムとして形にしたいなと思っています。いつとは具体的に言えませんが、PAREDとしてのオリジナル曲も形にしたいです。みずから作曲を行うとなるとかなり勉強が必要だから、そこはまだまだ先の話でしょうけど。作詞には挑戦したいなと思っています。僕自身が、いろんな方の楽曲をカバーして歌っているからこそ感じていることですけど。僕がオリジナル曲を出した暁には、その曲をカバーしてもらいたいんですよね。それが実現したら、めちゃくちゃ嬉しいこと。そこも今は目標にしています。まずは、100%濃いPAREDが詰まった1stミニアルバムの「菫」に触れ、みなさんPAREDの歌に染まってください。

TEXT:長澤智典

1stミニアルバム「菫」

ハスキーでパワフルな歌声がYouTubeやTikTokで話題のシンガー
「PARED」のカバー楽曲を収録したミニアルバム第1弾!

各音楽配信サイト
https://lnk.to/PARED_Sumire
『菫』公式HP
https://pared-song.com/

2021年9月15日(水)発売


■初回限定盤 CD+DVD
PCCA-06062
2,530円(税込)


■通常盤 CD ONLY
PCCA-06063
1,980円(税込)

収録内容:
<CD>
1. 臨界ダイバー / music & lyrics:うみろ 
2. 不埒な喝采 / music & lyrics:ポリスピカデリー
3. p.h. / music & lyrics:SEVENTHLINKS 
4. 優しい人 / music & lyrics:こめだわら
5. ワールド・ランプシェード ~Piano Arrange~ / music & lyrics:buzzG 
6. アイラ ~Piano Arrange~ / music & lyrics:n-buna
7. グレゴリオ / music & lyrics:古川本舗

<初回限定盤DVD>
ワールド・ランプシェード ~Piano Arrange~ Music Video
オフショット映像

PARED

1999年2月6日生まれのアーティスト、PARED(パレッド)
福岡の高校を卒業後神奈川県の一般企業に就職し、並行してツイキャス配信を趣味として始める。
そこから友人の誘いをきっかけにcover曲の投稿を開始し、以後高い頻度でTiktokやYouTubeにcover楽曲を投稿している。
YouTubeに投稿した「天ノ弱」のピアノアレンジカバーは780万再生越えのHITを記録。同作ではTikTokでも28万イイネ以上を獲得。
2021年2月には映画「ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~」の主題歌に抜擢。
今後の活動が期待される新進気鋭のボーカリストである。

Twitter:@HPa_red
Instagram:@hpa_red
TikTok:@hpa_red
YouTube:PARED

この記事を書いた人

"音楽を中心に執筆中のライター。「あなたのため」に頑張ります。 twitter @nagasawatomonor Web http://vues.jp/"

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