【インタビュー】声優・小野友樹、再出発から約1年。 仲間との繋がりが生んだ『キズナライト』を語る

2020年06月04日 | インタビュー


6月10日にNEW E.P『キズナライト』をリリースする、声優の小野友樹。今季も「イエスタデイをうたって」の湊役を担当するなど、シーンに欠かせない名プレイヤーとなった彼だが、音楽表現においても一切の妥協はない。再始動から1年を迎えるタイミングで、各楽曲や作家陣のこぼれ話を余すことなく語ってもらった。

――『キズナライト』は、どのようなものになりましたか。
小野:ずっと作りたかった“絆をコンセプトにした作品”ですね。再始動してから約1年の活動を通して、自分の名前である“友の樹”が大切なワードだと再認識しまして。「音楽をしていくなかで芽生えた絆を曲にしたい」という思いを、ようやく形にできました。

――作家陣もとても豪華ですよね。
小野:前回の『Winter Voice Friends』は声優で作詞・作曲をやっている方たちと作ったので、今回は僕の好きな文化である歌い手やボカロPとして活躍している方をメンバーに。以前から「一緒に曲を作りたいね」と話していた仲間たちを集めました!

――個性を活かした“絆”が並んだ、鮮やかな1枚になっているな…と。
小野:テーマの“絆”とお願いしたい方向性を、それぞれにお伝えしたんです。あまり絞りすぎたくなかったんですが、みんな作れる曲幅が広いから(笑)。曲調やイメージを個々に共有して、E.Pとしてのバランスはとれるようにしました。

――では、それぞれのクリエイターさんとの出会いや曲へ対する思いなどをお伺いさせてください。まずは、堀江晶太(kemu)さんの「キズナライト」ですね。
小野:しょうちゃんは、PENGUIN RESEARCHのボーカルである生田鷹司君に繋いでもらいました。僕が通ってるボイストレーナーが、鷹司君と偶然一緒で。イベントでお会いしたときに挨拶をして、そこからのご縁です。

――出会いが出会いを。
小野:これも“絆”のひとつですよね。大阪のイベントでkemuさんの曲を歌わせていただいてから、いつか彼と曲を作って歌いたいと思っていたので、ようやく叶いました。

――「キズナライト」は、どのようなイメージで制作されましたか。
小野:ライブで一発目に歌いたい曲、みんなで声を合わせて歌いたい曲って、しょうちゃんには伝えました。1年間のなかで培った仲間との絆や過去から未来へ向けての絆に思いを馳せる1曲になっています。

――タイトルも主人公感ある楽曲にぴったりですよね。
小野:実はもともと違う曲名だったんです(笑)。ふたりの使いたいワードを合わせたら、結果的に「キズナライト」という名前になりました。この現状だからこそ絆が大切になってくる世の中だし、その先には光があってほしいという願いがこめられています。

――わあ…深い。曲作りはどのように進んでいったのですか。
小野:ラフはしょうちゃん家で一緒に作りました。僕から曲のイメージを吸い上げると、「ちょっと待っててね」ってギターを片手にタバコを吸って、10分後くらいには「こんな感じでどうですか」って弾いてくれたんだけど、それがもう最高で。そんなやりとりを繰り返して、ラフを詰めていきました。帰り際に「この後で綺麗に作ったものを送るから」って言ってくれたんですけど、朝方にはもう届いてて。すでによかったので、そのままの形で詰めてもらいました。

――送られてきた時点で、歌詞も曲もメロディーもできていたと。
小野:そうですね。僕の思いや形にしたいことを、曲に落とし込むのがめちゃめちゃ上手。ど頭にやりたかったのは、これだよ! って思える曲に仕上げてくれました。
E.Pの構想を始めたときは、自分の作詞・作曲なしの4曲でいこうと思っていたんです。コンセプトが“歌い手・ニコ動時代に憧れだったみんなと作る”だったので、今までの作品で1曲ずついれてきた自分の作詞・作曲をあえて省いたんですよ。でも「キズナライト」を聴いたら、エンディングを作りたくなっちゃって(笑)。「今の自分なら曲にしたかったことを形にできる」と思わせてくれた曲でもあります。

――2曲目は、少年T(佐香智久)さんですね。
小野:彼とは、10年近い付き合いになるかな…。さこやんがニコ動での活動がメインで、まだ札幌に住んでいたときからの約束がやっと実現しました。

――「エリミネイト」は、どんな曲でしょうか。
小野:1曲目が王道になるであろうと思っていたので、続く曲は“歪んだ絆”を表現したいな…と。さこやんが担当した「抱かれたい男1位に脅されています。」の主題歌が、僕の持っているイメージにぴったりだったんですよ。「彼しかいない!」と思って(笑)。「偏愛よりにして」って話して、あとは全部お任せしました。

――色っぽいロックチューンですよね。
小野:さこやんと出会うきっかけになった「ずっと」(『君と僕。2』の主題歌)みたいな曲もいいなって思ったんですけど、今回はその枠を天ちゃんにお願いしたかったんですよね。じゃあ、さこやんは色気ロックいってみる? みたいな(笑)。彼と話していると闇の部分をよく感じるので、気心しれてるからこそ頼めたのかもしれないです。

――3曲目の「GIFT」が、天月さん。
小野:天ちゃんとは、去年から一緒にやりたいねって話していました。彼の作るアップテンポで明るい曲が、すごく好きなんですよ。「きみだけは。」とか、本当に最高。だから今回は、僕が作れないようなザ・キラキラソングを依頼して。「こういうメロディーラインが好き!」とか「こういう曲が好き!」っていうのは伝えましたけど、一番お任せ要素が多かったのは天ちゃんかも。そのうえでキーの調整とか、いろいろ小回りを利かせてもらいました。おかげさまで、唯一無二のキラキラロックになったような気がします。よくもここまで綺麗な歌詞を書けますよね(笑)。

――それは、どのような意味ですか。
小野:単純に詩として美しいと思うんですよ。自分で書いていたら、きっと恥ずかしくなってひよってました。よくぞ徹底してキラキラしてくれた! メロディーラインも綺麗ですしね。

――たしかに徹底度は、すごいかも。爽やかでキラキラで…。
小野:レコーディングのときに、「天月すぎる」って言われたのはいい思い出です(笑)。天ちゃんが仮歌をいれてくれた「GIFT」をずっと聴いていたら、よせすぎちゃったみたいで。意図的に「天ちゃんと一緒に歌ってる気持ちでやろう」としてたとこはあるんですよ。僕の引き出しにない楽曲だし。でも「それじゃ小野月だぞ」って、ディレクターが(笑)。小野友樹としての個性を残してほしいと言っていただいたので、バランス調整をして完成版の歌い方になりました。普段だったら1・2テイクで終わるんですけど、これは珍しく5・6回歌って。“小野友き”にするバランスが難しかったかな。

――次は、みきとPさんですね。
小野:みきとPが作ったキャラソンを歌う機会があって、ご挨拶させていただいてからのご縁なんです。そのときに『DAISAN WAVE』をいただいたんですけど、直後に「ロキ」を歌うことがあって。全部、繋がってるんだなぁ…と。

――「喪失-愛の温度-」は、どのような曲ですか。
小野:彼には今回、アップテンポすぎないロックをお願いしました。シリアスロックというか…。贅沢なことに、ラフの段階で1回作りなおしてもらってるんですよ。
「サリシノハラ」がすごく好きだと伝えて、あがってきたのがこの曲。「その通りだわ、すごい!」ってなったんですけど、ふとした瞬間に「サリシノハラ」とコードがまんま一緒じゃんって気づいて(笑)。思わず「喪失-愛の温度-」のインストに合わせて、「サリシノハラ」を歌っちゃいましたもん。僕としては嬉しいんですけどね。

――締めは小野さんが作詞・作曲された「いつか君が笑うなら」。すごく世界が開けていくような曲ですよね。
小野:大テーマは、それです。壮大さみたいなものを、今まで曲に落とし込めなかったんですよ。自分のなかのイメージが、気持ちに追いついてなかったんでしょうね。プロデューサーの桑原君に「自分のなかにあるのに、何かが足りない」ってずっと話してて。それが、みんなが作ってくれた曲と“絆”というワードによって、「これだ!」ってなったんです。そこからは早くて、2時間くらいで詩と曲ができました。

――すごいスピード感…。
小野:この1年間、自分なりに曲を作ったり、いろんな曲を聴いたり、会話をしたり。全ての期が熟したんだと思います。

――全部が繋がってできた「いつか君が笑うなら」ということですね。小野さんは声優という側面もお持ちですが、声優だからこそできる表現もあるように感じますか。
小野:作ってもらった曲や仲間と一緒に作った曲に、歌として声として寄り添えるのは僕の強み。アーティストさんみたいなぶれない個性も強みのひとつだと思うんですけど、声優としての技を活かして楽曲の魅力を広げられたら嬉しいですね。寄り添いすぎると“小野月”になってしまうので、そこは桑ちゃんにバランスをとってもらいながら(笑)。

――『声優紅白歌合戦 2020』からも、お声がかかってましたもんね。
小野:そうなんですよ。開催が中止になってしまったのは残念だったんですけど、チャンスをいただけたことは純粋に嬉しかったです。昨年は指をくわえて見ているだけだったので。次の機会があったら、ぜひステージに立ちたいですね。

――楽しみにしています。『キズナライト』ができあがった直後で時期尚早かもしれませんが、次に挑戦したいことなど決まっていたりしますか。
小野:『キズナライト』の曲たちをみんなの前で歌ってみないと、まだわからないです。やりたかったことを全部形にできた作品に仕上がったので、まずはライブがしたい!

――では最後に、原宿にまつわる思い出があったら教えていただけますか。
小野:泥棒日記というブランドの店舗が、裏原にあったんですよ。養成所の先生だった関智一さんが着てらっしゃったのが素敵で、お店を教えていただき愛用していました。ジャージとかズボンとか、それこそちりめんがボロボロになるまで着てましたね。
あとは、やっぱりクレープかな。バナナ生クリームがお気に入り。チョコソースを抜きにして生クリームを倍、チョコスプレーを足すのがこだわりです。

PHOTO:大西基
TEXT:坂井彩花
LOCATION:STUDIO BENGUAR

最新EP「キズナライト」

最新EP「キズナライト」6/10(水)配信!

01.「キズナライト」
作詞・作曲・編曲:堀江晶太
02.「エリミネイト」
作詞・作曲:少年T
編曲:本多友紀(Arte Refact)
03.「GIFT」
作詞・作曲:天月-あまつき-
編曲:渡辺拓也
04.「喪失-愛の温度-」
作詞・作曲・編曲:みきとP
05.「いつかの君が笑うなら」
作詞・作曲:小野友樹
編曲:伊藤和馬(Arte Refact)

小野友樹プロフィール

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この記事を書いた人

Music Worder。音楽とお酒と人が好き。 Twitter:@ayach___

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