6月24日にベスト盤「Fiction」を発売するMaison book girl。全18曲入りの作品は、彼女たちの5年間の歩みが時代を重ねるように並べられている。その曲たちが語る物語とは??なぜ、タイトルが「Fiction」なのか。。。ここに、4人の言葉を通してお伝えしよう。
こだわり…なんか、年々なくなっている気がしています(笑)。
──ようやく音楽活動を取り巻く環境にも新しい動きが出始めています。みなさん、STAY HOME期間中、どのように過ごしていました?
コショージメグミ:Maison book girlとしては予定していたライブツアーが延期になれば、メンバー自身も集まることが難しい環境にあったことから、各自が自宅からリモートという形で集まっては、全員や、それぞれに配信をする形を取りながら、ファンの方々とコミュニケーションを取っていました。その形は、今回の環境が生まれなかったらやらないことだったなとも感じています。
──当時も今も、その状況に合わせ、自分たちで何が出来るのかを考え続けているわけだ。
コショージメグミ:そうですね。「今、やれることをやろう」という想いでいつも動いています。
──自宅からの配信ということは、配信に合わせ着替えることもしていたのでしょうか。
和田輪:いつもシュッとした衣装姿しか見せていないグループのように、こういう機会でないと、それ以外の格好を見せることがないので、わたしは普段着でした。ときにはパジャマ姿で配信するなど、そこも自分なりに楽しんでいました。
井上唯:自分らのTシャツを着て配信したりとかね。
──みなさんのファッションへのこだわりもお聞きしたいなと思います。まずは、矢川さんから教えてください。
矢川葵:こだわり…なんか、年々なくなっている気がしています(笑)。最近は、着替えやすい服装でいることが多いですね。たとえばレッスンに行くときは、すぐにレッスン用のジャージに着替えやすい格好とか、楽で動きやすい格好を求めることが多いです。
わたしの場合、衣装姿以外で人前に出るときは、よく原宿の古着屋さんに行っては、そこでも1着しか取り扱ってないワンピースなどを探し、それを着て人前に出ています。
──コショージさんの、ファッションへのこだわりも教えてください。
コショージメグミ:わたし、最近は練習が増えているせいか、よくジャージを身につけているんですけど。わたしの場合、レッスン場に行ってジャージに着替え、レッスンが終わったらまた着替えて帰ることをしたくないんです。家を出かけたままの格好でその日をずっと過ごしたいので、ジャージを軸にしたうえで、ジャージと私服をミックス。できるだけ普段着っぽいけど練習着にもなる格好で過ごしています。
──レッスンで汗をかいても、その格好で帰るわけだ。
コショージメグミ:そうですね。汗は拭けばいいし、冷房をガンガンに効かせ、完全に汗が引いてから帰ればいいので。ちなみに好きなブランドは、一周まわってH&Mになりました。今はそんなにも流行りの服は気にしてないですけど。ただ、昨年と同じ格好をしているのもどうなのか…という気持ちから、毎年新しく服を買い揃えたりはしています。
──女性の場合、何年も同じ格好をするのは…という傾向がありますからね。
コショージメグミ:なんか、飽きちゃいますよね。
──続いては、和田さんお願いします。
和田輪:昔から、そんなにファッションへこだわるタイプじゃないんですけど…。わたし、「市販の服を着ると、なんかダサい。なんでだろう??」とずっと思っていたんです。
矢川葵:市販の服って、それ以外の服、普通はないでしょ(笑)。
和田輪:そこが悩みだったんですけど。ここ近年、「市販の服が似合わない」と思っていたのはわたしの身体のサイズが小さいすぎて、体型に合う服がなかったからなんだということに気づきました。わたしもH&Mが好きなんですけど。理由が、サイズ展開がすごく広いからです。わたしの場合、上半身はSとMの中間がいいけど、下半身はXSがいいみたいに、体型に合わせやすいサイズが揃っているから、H&Mはよく利用しています。
──最後は井上さんですね。
井上唯:普段は動きやすい格好や着替えやすさを重視していたんですけど。自粛期間中、毎日スウェット姿で過ごしていたら、その格好に飽きてきちゃって。近所に散歩や買い物に行くだけなのに、「スカートを穿いちゃおう」「パンプスで行こう」など、お洒落をしながら気分転換もしていました。普通に生活していた時期は、楽な格好で過ごすことに違和感を覚えることはなかったんですけど。ちょっと違う刺激を求めようとしたのは、きっと気分転換をしたかったからなんだと思います。
普段から「静かそうな人たち」とか言われない?
──Maison book girlと言えば、とても世界観の強い音楽性を示しています。メンバー自身も、Maison book girlのメンバーとして歌う場合、人格も切り換え、世界観へ没入してゆくのでしょうか。
井上唯:うーん、切り換えてるのかなぁ。。。あまり切り換えてる意識はないですけど、みなさんはどう観てるんですか??
──もしかしたら、切り換えてるのかなと想像もします。
矢川葵:そんなに意識はしてないです。
和田輪:もし切り換えてるとしたら、自動的に切り替わっている感じです。
──楽曲の世界観に触れだすと、自然に気持ちも切り換わるということでしょうか?
和田輪:そういうことも意識はしてないです。
矢川葵:もちろん、ライブ前に集中はしますけど。キャラを変えるという意識は、誰も持たないと思います。
──ステージ中のパフォーマンスも、何時しかその姿に自分が彩られている姿なわけだ。
コショージメグミ:そうです。
──何時も独創的なステージングに映ってゆくせいか、世界観を作っていると勝手に勘違いしていました。
コショージメグミ:でも、普段から「静かそうな人たち」とか言われない?
和田輪:確かに。
井上唯:あー、そういう印象ってことか。。。
──4人で過ごしているときは、意外にテンションも高いとか?
コショージメグミ:平均的に見たら、そこまで高くない気はします。
和田輪:楽しくおしゃべりはするけど。楽屋にいる他のアイドルさんたちの姿を見て「元気だなぁ」と思ってしまうように、他の人たちと比べた場合、おとなしい方かも知れないです。
──でも、そういうのさえ自分たちでは気にしてないわけだ。
和田輪:はい。
この5年間の中で、Maison book girlの音楽性もグラデーションのように少しずつ広がっている。
──Maison book girlとして活動を始めて5年が経ちました。それまでの活動を集約する形で作りあげたのが、ベスト盤の「Fiction」になります。みなさんは「Fiction」を出すことについて、どんな感想や想いを抱いています?
矢川葵:5年間やってきたことで、初期から比べたら楽曲のバリエーションがすごい広がったし、その歩みが1枚のアルバムになることが感慨深いというか、5年間活動してきた甲斐があるなと思います。
──メンバー自身でも、楽曲の世界観の変化を感じているわけだ。
矢川葵:楽曲はサクライ(ケンタ)さんがずーっと作ってくださっているように、世界観は統一した感じになっているんですけど。活動初期の頃は、私たち自身の表現力が乏しかったこともあって、サクライさんはそこも考慮してくれていた面もあったと思います。でも、年数を重ねていく中いろんな歌い方が出来るようになり、そこに合わせた変化が出れば、ライブでのお客さんの反応に合わせて楽曲が進化していった面もあったと思います。
──コショージさんは、ベスト盤「Fiction」をどのように捉えています??
コショージメグミ:5年間って、数字で見て長いのか短いのかよくわかんないですけど。Maison book girl自体、この5年間の中で少しずつグラデーションのように音楽性も広げてきているなと思うし、私たちそれぞれの持つ世界観も広がっていると思うから、そのグラデーション感を、ベスト盤「Fiction」を聞いて感じ取ってもらえたらなと思います。
──それだけ音楽性に彩りが出てきたということでしょうか?
コショージメグミ:彩るというか…最初は正面からの1枚の写真だったものが、違う方向から映した写真が出てくれば、何時しかそれが映像にもなっていて……そんな感じです。
──和田さんは、ベスト盤「Fiction」をどのように受け止めていますでしょうか。
和田輪:5年前に歌った曲たちも、今もライブでズーッと歌っています。それくらい、今聞いても良い歌がMaison book girlには揃っています。その5年間の中で生まれた曲たちを、改めて聞いてもらえる機会が生まれたのはすごくいいことだなと思います。
とくに、最初の時期に出した楽曲は、わたしたちのヴォーカルの実力が追いついていなかったところがあるんですけど。「bath room_」を今回再録できたように、過去の曲たちも、今のMaison book girlとして聞いてもらえる良い機会にもなったなとも思っています。
──井上さんは、どんな想いを抱いてますか?
井上唯:今でもライブでは初期の楽曲も歌っているように、こうやって時代の流れを追うように並べて聴くと自分たちの積み重ねや成長を感じるというか、Maison book girlとしての5年間をベスト盤「Fiction」を通して感じれるなぁと思いました。
宇宙まで行ったね。でも、また屋上に戻ってきた。もしかしたらこのあと、「疲れたー」と言って部屋に戻ったりしてね(笑)。
──Maison book girlの場合、音源もライブも、誕生したときからずっと続きを成した物語を綴り続けている印象を覚えます。しかも、最初は自身や部屋の中など狭い空間から始まった物語が、何時しか外へ飛びだしていった。そんな風にも捉えてしまいます。
井上唯:最初の頃は室内の歌詞が多かったけど、最近の曲は……何処だ??
矢川葵:一度、宇宙まで行ったよね。
コショージメグミ:確かに宇宙まで行ったね。でも、また屋上に戻ってきた。もしかしたらこのあと、「疲れたー」と言って部屋に戻ったりしてね(笑)。
和田輪:新曲の「Fiction」でも、「君といた部屋に戻る」と歌ってるしね。
井上唯:宇宙までいっちゃったら、あとは戻るしかないんです(笑)。
──自分たちでも、どう物語が展開してゆくのかを楽しんでいる面は強いのでしょうか。
和田輪:物語は、どんどん広がっているなとは思います。それと、どんどん感情を伝えるための表現がストレートになってきたなとも感じています。昔は皮肉や反語など、あえてネガティブな言葉を使うことで希望を浮き彫りにしていく表現が多かったんですけど。最近は、ストレートで優しくてという楽曲が据えたようにも感じています。
──それでも、相変わらず聞き手に想像を巡らせる楽曲が多いですけどね。
和田輪:想像の余地を残したいところは、昔からずっとあることだと思います。
──メンバー自身は、楽曲の解釈や答えを共有しながら表現しているのでしょうか?
和田輪:共有はしていません。基本的に、それぞれ自分なりに捉えています。
井上唯:そこは、個人個人の捉え方に委ねているよね。
矢川葵:なんとなくのテーマというか、ストーリーを先に聞いていれば、私たちも、そこで「なるほど、わかりました」と理解して取り組んでいるから、そこはお互いに共有している意識でレコーディングやライブに取り組めば、実際に、それで成り立っています。
コショージメグミ:説明を聞いて以降は、それぞれに「わたしはこういう解釈をして」ということで臨んでいれば、とくに確認をしなくとも、みんな同じ意識を向いてるなとは感じます。
それまでのMaison book girlを、その人がどう感じてきたのか…。
──「Fiction」は、ベスト盤でありながらも新たに構築した長大な物語という印象も聴きながら受けました。みなさん、改めてベスト盤「Fiction」への想いを聴かせてください。
井上唯:今のMaison book girlらしさが現れている作品じゃないかと思います。アルバムには、今年1月に行ったワンマン公演のために作られた楽曲も入っています。わたし自身その楽曲を気に入っていたから、それを音源化できたことも嬉しいんです。だから、ただ楽曲を集めただけのベスト盤じゃない作品であるところもポイントだと思います。
和田輪:初期の楽曲を新録したように、また新たな気持ちで聞いてもらえる楽曲集になっているようにもわたしは感じました。
コショージメグミ: 新録した「bath room_」は、Maison book girlが結成した当初から歌ってきた楽曲。当時の作品を聞いている方なら、歌どころか、楽曲の構成も変わったので、一番の変化を覚えるんじゃないかと思っています。何より、私たち自身がその進化に嬉しい驚きを覚えていましたからね。
矢川葵:これまでの表題曲を集めただけのベスト盤じゃなく、楽曲がリアレンジしてあったり、私たちの歌も進化していたり。普段のワンマンライブもそうですけど、新たに収録することで新しいギミックをつけるなど、一筋縄じゃないところがMaison book girlの良さ。それが、この作品にもすごく現れているように、とてもお勧めしたいベストアルバムになりました。
──「Fiction」というタイトルも意味深であれば、「Fiction」と題した新曲も、何かを示唆しているようにも感じました。
井上唯:確かに「Fiction」という言葉には、何かしらのストーリー性を感じてしまいますよね。わたし自身の「Fiction」という新曲についての印象を語るなら、今までよりも割とストレートに表現してきた楽曲という印象でした。
──和田さんは、「Fiction」についてどんな印象でした?
和田輪:昨年「鯨工場」と題したシングル(※シングル「SOUP」収録曲)を発売したんですけど、そのときにテーマにしていたのが「メタフィクション」。そのときは「僕らの唄は何処に届いているんだろう」と歌いながら、わたしたち自身を題材に歌いました。そこから追求しだしたテーマを経て、今回、「Fiction」という楽曲を提示しました。わたしたちのなりの想いはありますが、今回をきっかけに、さらに想いや考えを巡らせる余地が増えたなとも感じているように、ぜひ想像を巡らせて欲しいです。
──コショージさんの印象も効かせてください。
コショージメグミ:Maison book girlの中には、歌うのが難しい楽曲もいくつかあります。でも、「Fiction」はめちゃくちゃ歌いやすかった楽曲でした。
「Fiction」というタイトルについての想いは、私たちは知っていますが、それをどう伝えれば適切なのか…。単純に、ワンワードの響きがいいなというのと、その言葉を深く捉えず、そのまんま受け止めてもらっても良いですとだけ言っておきます。
──それまでの世界は想像の産物だというわけでもないですよね。
コショージメグミ:それは、その人の考え方次第だと思います。むしろ、それまでのMaison book girlをその人がどう感じてきたのか…。もしかしたら「あっ、騙されてた」と感じる人がいるのかも知れないし、「その通りだった」と思う人もいるかも知れないように、そこの解釈も楽しんでください。
──矢川さんは、どうですか。
矢川葵:Maison book girlの楽曲って、夢の中の話をしている感じが多いなとわたしは思ってて。だから、これらの楽曲をひとまとめにしたうえで「Fiction」というタイトルをサクライさんがつけたことにも、「その通りだな」とわたしは思いました。
何時しかMaison book girlの音楽は、外も似合うようになりました。
──ベスト盤「Fiction」を経て、これからMaison book girlの物語がどんな風に進んでゆくのか楽しみにしています。
井上唯:最初に「bath room_」を歌っていたときは、自分たちでも今のように物語が進んでいくとは想像もしていなかったように、これからの展開は、私たち自身も楽しみです。
──最後に。ベスト盤「Fiction」は、どんなときに聞いてもらいたいですか?
矢川葵:「Maison book girlの楽曲は雨の日が似合う」とよく言われるように、「雨の日」にどうぞ!!
コショージメグミ:でも、晴れた日の風景の歌も入っているように、晴れた日もどうぞ!!
──季節は夏に向かいますが…。
井上唯:暑い日には「Fiction」を聴くと似合うんじゃない?
コショージメグミ:「レインコートと首の無い鳥」とかね。あと、外でアルバムを聴くのも似合います。
和田輪:曇り空の日には、「cloudy irony」とかね。
コショージメグミ:Maison book girlの音楽は曇りの日もいけます(笑)。
──Maison book girlの楽曲は、室内が似合う印象を覚えていましたが…。
井上唯:私たちも、前は「室内で、イヤフォンやヘッドフォンで聴くのがいい」と言ってましたけど。何時しかMaison book girlの音楽は、外も似合うようになりました。ぜひ、ベスト盤「Fiction」を外にも連れ出してください。
PHOTO:大西基
TEXT:長澤智典
Best Album「Fiction」
2020.06.24 Release
Fiction
Best Album
01. bath room_
02. snow irony_
03. lost AGE_
04. cloudy irony
05. river
06. sin morning
07. faithlessness
08. townscape
09. rooms__
10. 言選り_
11. レインコートと首の無い鳥
12. 狭い物語
13. 夢
14. 長い夜が明けて
15. 闇色の朝_
16. 悲しみの子供たち
17. Fiction
18. non Fiction
特設サイト
https://www.maisonbookgirl.com/fiction/
Maison book girl
2014年11月活動開始、ニューエイジ・ポップ・ユニット。
メンバーは矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミの4名。
音楽家・サクライケンタが楽曲制作、総合プロデュースを行い、音楽のみならず、映画出演、ファッションブランドとのコラボレーションなど多岐にわたって活動を展開。
サクライケンタ独自の世界観と四人四色な個性を放つメンバーの化学反応に今後も期待してほしい。
Maison book girl Web
https://www.maisonbookgirl.com/
Maison book girl twitter
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Maison book girl BLOG
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Maison book girl YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/atnek0000
矢川 葵 twitter
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井上 唯 twitter
https://twitter.com/yuimr0913
和田 輪 twitter
https://twitter.com/Rin_wada
コショージメグミ twitter
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