【畠中祐インタビュー】「憂国のモリアーティ」の内容をつかめばつかむほど歌詞に込めた意味が紐解かれるように、「DYING WISH」は聞き込むほどに楽しんでもらえる歌。

2020年11月09日 | インタビュー
長澤智典
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 TVアニメ「憂国のモリアーティ」のオープニング主題歌「DYING WISH」を収録した5thシングルを10月28日に発売。11月25日には、みずからウルトラマンゼットの声を担当している特撮ドラマ「ウルトラマンZ」のエンディングテーマ「Promise for the future」を含む6thシングルをリリース。2ヶ月連続でシングル盤を発売する声優の畠中 祐をつかまえ、楽曲話を中心にインタヴューを行なった。ここでは、「憂国のモリアーティ」のオープニング主題歌「DYING WISH」を中心に、5thシングルの魅力についてお届けしたい。

シングル「DYING WISH」に収録した3曲は、TVアニメ「憂国のモリアーティ」の作品へ寄り添った曲たちとして統一しています。

──10月28日に5thシングル「DYING WISH」、11月25日には6thシングル「Promise for the future」と2ヶ月連続でシングルが発売になります。かなり精力的に動きましたね。

畠中祐 「DYING WISH」がTVアニメ「憂国のモリアーティ」のオープニング主題歌で、「Promise for the future」が「ウルトラマンZ」のエンディングテーマと、連続で2作品の曲タイアップが決まったように、とても嬉しい話なんですけど。今回のお話が決まってからリリースするまでの期間が短かったことから、合計6曲の歌録りはけっこう大変でした。

──今は…。

畠中祐 ようやくすべて録り終え、ひと安心しています(笑)。

──2枚の作品に収録した6曲は、すべて異なる曲調なのでしょうか?

畠中祐 これまでの僕は、ダンスミュージックを軸に据えた曲たちを歌ってきました。でも、今回の2枚へ収録した曲たちは、どれもこれまで歌ったことのない曲調であるのは確かです。そのうえでの話になりますが、シングル「DYING WISH」に収録した3曲は、TVアニメ「憂国のモリアーティ」の世界観へ寄り添った曲たちとして統一しています。対して「Promise for the future」の場合、表題曲は「ウルトラマンZ」に寄り添っていますが、C/Wに収録した2曲はまったく表情が異なるように、こちらは3曲とも良い意味でバラバラです。あえて言うなら、どんちゃん騒ぎをしている作品のよう。みなさんも、聞いたらビックリすると思います(笑)。

登場人物たちの気持ちへ寄り添って歌うのではなく、物語の語り部として客観性を持った視点で歌いました。

──「DYING WISH」は、TVアニメ「憂国のモリアーティ」の世界観にとても寄り添った楽曲ですよね。

畠中祐 「憂国のモリアーティ」の世界観へ寄り添ってはいますけど、歌うときに一つ心がけていたことがありました。

──そこ、気になります。

畠中祐 「DYING WISH」は作品のオープニングを飾る楽曲。たとえ登場人物たちの心情が歌詞に重なっていようと、キャラクターソングではない。なので、登場人物たちの気持ちへ寄り添って歌うのではなく、あくまでも物語の語り部として客観性を持った視点で歌いました。

──歌うに際して、原作も読み込んだのでしょうか?

畠中祐 もちろんです。ただし、何時もなら声優としてその作品のオーディションを受けるために原作を読み込み、キャラクターの心情を自分なりにつかんだうえで臨むなど、相応の準備期間があるんですけど。今回は声優としての出演ではなく、純粋にオープニングテーマを歌うアーティストとして関わらせていただく形でした。しかも、タイアップが決まってからレコーディングまで期間が短かったことから、原作を読みながら歌入れの準備も行なっていたように、並行して準備を進めた形でしたね。

──今回は、声優としての関わりではなく、純粋にアーティスト/シンガーとしてアニメのテーマ曲に携わりました。そこに関してはどんな気持ちでした?

畠中祐 過去に、みずから声優として出演しながらテーマ曲もという経験はあったのですが、今回は純粋に歌い手として作品に携わる形になりました。むしろ、歌だけの関わりだからこそ、違った意味で身が引き締まったと言いますか、一人のアーティストとして携わる形だからこそ緊張もありましたね。もちろん、求められた以上はしっかりとやりきったし、結果的に、物語へ寄り添うオープニング曲に仕上がったなと感じています。

でも、彼らが犯しているのは犯罪なんですよね。

──「DYING WISH」に綴られた歌詞は、「憂国のモリアーティ」という作品が持つ世界観を凝縮している印象も覚えました。

畠中祐 原作を読んだうえで歌入れに臨んだときから、「あっ、この言葉は!!」という発見もいろいろとあったように、とても物語に寄り添った歌になっています。きっと「DYING WISH」を耳にしている人たちは、物語に出てくるモリアーティ兄弟の気持ちと重ね合わせ聞いている人たちも多いんじゃないかな。

──「憂国のモリアーティ」の舞台は、大英帝国全盛期のロンドン。まだまだ階級制度が色濃く残っている時代が背景になっています。

畠中祐 今の僕らが住んでいる環境と比べたら考えられないくらい、はっきりと目に見える形で階級社会があった頃のロンドンが舞台になっています。その社会の中から階級制度も含め様々な格差を失くそうと、モリアーティ兄弟は、ときに犯罪に手を染めながら世の中を是正してゆく。僕らが見ても「絶対に許せない」人たちがこの物語にはたくさん出てきますが、その人たちにモリアーティ兄弟が下す答えは、言ってしまえば犯罪じゃないですか。だけど、その行動を納得して見てしまう自分たちや、あの当時の社会がある。モリアーティ兄弟は、その積み重ねで世の中を変えていこうとしているように、作品を読んでいると、その意志に一瞬同調してしまうんだけど。でも、彼らが犯しているのは犯罪なんですよね。この作品、それぞれの事件ごとにすごくすっきりする部分とモヤッとした感情が共存してゆくなと思いながら、僕は観ています。

──共感は覚えるけど、その手段が犯罪というところに、モヤモヤとしたしこりのような感情がこびりついてしまうのはわかる気がします。

畠中祐 彼らはダークヒーロー的な一面が強い人たち。そこには犯罪という、モリアーティ兄弟にしか超えてはいけない一線がある。だから歌う際にも、そっと背中を押すけども、けっして一線を超えていけない絶妙な距離感を保つというのかな。自分がモリアーティ兄弟と同化して歌ってはいけないというか、彼らの行動を俯瞰的に捉えて歌う視点が必要だなと感じたからこそ、そう歌いました。

モリアーティ兄弟の行く末にも、本当に未来は待っているのか??と思ってしまいます。

──「DYING WISH」の歌詞には僅かな希望も記されていますが、救いのない絶望へ導くような内容だとも感じました。

畠中祐 実際、モリアーティ兄弟の行く末にも本当に未来は待っているのか??と思ってしまいますからね。彼らの犯罪を重ねた行動を通すことで、社会や人々の意識は変わっていくかも知れない。でも、モリアーティ兄弟が進む道の先には…いや、犯罪者の歩む未来に良い結末はないと、一般常識として考えてもそう思ってしまいます。

──モリアーティ兄弟たちは、希望を胸に罪を犯してゆく。まさに、濁ったどろどろの正義感が彼らの心には渦巻いていますからね。

畠中祐 渦巻いていますよね。それくらい「憂国のモリアーティ」はすごく問題定義をしてゆく物語であり、強いメッセージを示した物語でもあるんだと思います。どろどろになればなるほど、煮えくり返るような想いが強くなるほどに、そこには影を背負った力強さが渦巻いてゆく。だからと言って、沸き立つ気持ちのまま力強く歌ったらモリアーティ兄弟の気持ちと同調してしまう。だからこそ先にも言ったように、あえて抑えた歌い方というか、一線を踏み越えた者たちへ捧げる気持ちで歌いました。

──でも、僅かな救いも感じれるところも、「DYING WISH」の特色になっているんでしょうね。

畠中祐 加えて、「DYING WISH」について補足するなら、この歌は「彼らの終着点は何処なんだろう」という内容。「憂国のモリアーティ」の最終回まで見終えたときに改めて「DYING WISH」をフルバージョンで聞いていただければ、今とは異なる視点で歌が響いてゆくと思いますから。

──そうなんですね。

畠中祐 「憂国のモリアーティ」の結末までを知ったうえで「DYING WISH」を聞くことで、この曲に込めた意味合いが明瞭に見えてゆくと思います。つまり、物語の過程を追いかけつつ、一話ごとに歌詞との関連性を覚えながら聞いても楽しめるんだけど。すべてを見終えた後に改めて聞き返すと、「あっ、このための歌だったのか」というものが見えてもくるように、「DYING WISH」は二度視点を変えて楽しめる歌になっています。むしろ、内容をつかめばつかむほど歌詞に込めた意味が紐解かれるように、「DYING WISH」は聞き込むほどに楽しんでもらえる歌ですから。

TEXT:長澤智典

5thシングル「DYING WISH」

アーティストデビュー3周年を迎え、これまで多くの大型イベントに出演。
声優としては『ウルトラマンZ』のウルトラマンゼット役を務めるなど、幅広く活躍中。
5枚目のシングルはアーティストとしての新たな側面を見せられる1枚となっている。

畠中 祐
TVアニメ『憂国のモリアーティ』オープニング主題歌
5thシングル「DYING WISH」
2020年10月28日(水)発売

[INDEX]
■CD
1:DYING WISH
 作詞:マイクスギヤマ 作曲・編曲:Rasmus Faber
2:Pray
 作詞:KASHI 作曲・編曲:椿山日南子
3:Brand New Day
 作詞・作曲・編曲:BIG BROTHER
4:DYING WISH (Instrumental)
5:Pray (Instrumental)
6:Brand New Day (Instrumental)

■BD ※初回限定盤のみ
1:DYING WISH (Music Clip)
2:Making of DYING WISH


【初回限定盤】2,300円+税 / LACM-34071 / CD+BD
 ※BD同梱:リード曲のMusic Clip、メイキングを収録


【通常盤】1,300円+税 / LACM-24071 / CD
 ※描き下ろしイラストバックジャケット長帯仕様

「憂国のモリアーティ」Web
https://moriarty-anime.com/

6thシングル「Promise for the future」

2ヶ月連続タイアップシングルとなる6thシングルはウルトラマンゼット役で声優としても出演中の特撮ドラマ『ウルトラマンZ』後期エンディングテーマ!
熱い、未来への楽曲に是非ご期待ください!

畠中 祐
特撮ドラマ『ウルトラマンZ』後期エンディングテーマ
6thシングル「Promise for the future」
2020年11月25日(水)発売

[INDEX]
■CD
1:Promise for the future
作曲:渡辺徹 編曲:ats-,清水武仁&渡辺徹 (Blue Bird’s Nest)
2:アルゴリズム
作詞:Cocoro. 作曲:BOUNCEBACK 編曲:清水武仁
3:真冬HEAT
作詞:小松レナ 作曲・編曲:渡辺 徹
4:Promise for the future (Instrumental)
5:アルゴリズム (Instrumental)
6:真冬HEAT (Instrumental)

【初回限定盤】2,300円+税 / LACM-34072 / CD+BD
※BD同梱:リード曲のMusic Clip、メイキングを収録

【通常盤】1,300円+税 / LACM-24072 / CD
※キービジュアル使用長帯仕様

「ウルトラマンZ」Web
https://m-78.jp/z/

畠中祐プロフィール


1994年生まれ。2006年に映画『ナルニア国物語』の一般公募オーデイションに合格し、
エドマンド・ペベンシー役の吹替えで声優デビュー。その後、多数の吹き替え・アニメ作品に出演中。
キャラクターソング等での歌唱力の高さに定評があり、
2017年7月に1stシングル「STAND UP」で、ランティスよりアーティストデビュー。
2018年には2ndシングル「真夏BEAT」をリリースし、2019年3月27日には1stアルバム「FIGHTER」をリリース。
さらに、7月27日には豊洲PITにて「TASUKU HATANAKA 1st LIVE -FIGHTER-」を開催。

畠中祐Twitter@tasuku_kenpro
Lantishttps://www.lantis.jp/artist/hatanakatasuku/
賢プロダクションhttp://www.kenproduction.co.jp/talent/member.php?mem=m78
YouTube畠中 祐 Official Channel

この記事を書いた人

長澤智典
音楽を中心に執筆中のライター。「あなたのため」に頑張ります。 twitter @nagasawatomonor Web http://vues.jp/

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