ディズニープリンセスに自分で未来を掴みとる時代が来ているように、現在を生きる王子様も過渡期に突入している。馬に乗って剣を振るわけでもなければ、豪勢な部屋で優雅に生活するわけでもないし、非現実的な偶像として誰かの理想をロールするわけでもない。見えないところでコツコツ努力を積み重ねながら、誰かの生きる理由になるたった一瞬を精一杯に輝く。それこそが、現在を生きる王子様の姿なのではないだろうか。
9月12日に開催された『9bic 2nd ANNIVERSARY LIVE 9BICARide』で、ぴあアリーナMMに立つ9bicの姿は眩しいほどに輝いていた。たった2年という短い月日の先で、SNSや学校で目立つかっこいい男の子は、大勢のオーディエンスを魅了するアイドルになったのである。
タイトルの「9BICARide」になぞらえたムービーでライブはスタート。ステージを覆っていた紗幕が下りると、車掌衣装に身を包んだメンバーが現れた。「1日目より熱い日にしようぜ!」という市川慶一郎の煽りを受け、1曲目の「klaxon」からすでに会場はヒートアップ。コール&レスポンスや口上ができないコロナ禍ならではの寂しさを感じさせないほどに、色とりどりのサイリウムが鮮やかに揺れる。
サビの“ユーフォ―ゲーム”が耳に残る「U.F.O GAME」、年始の「Hero」ツアーで初披露された「ドクドク」と間髪いれず、ノンストップなパフォーマンスを展開していく6人。正直なところ、歌にしてもダンスにしてもまだまだ拙さが残るところはある。それでも、彼らから目が離せなくなってしまうのは、持ち前のアイドル性で楽しませてくれるからなのだろう。ビジュアルの強さを余すことなく発揮したカメラ目線や観客ひとりひとりへ送られる爆レス、そしてメンバー同士の積極的な絡み。ジャニーズやスターダストに所属するアイドルに憧れていたメンバーの多い9bicだからこそ、自分がときめいてきた所作を魅せる側として100%以上のパフォーマンスに還元できるのだ。
自己紹介ソングである「9bic MELODY」は、双葉小太郎が作詞を手掛け“2nd Anniversary ver.”として披露。MCで「最近の市川君は僕にデレデレなんです」「さっちゃん(仮屋瀬さつき)は天才なんですよ」と歌詞の裏話を話す双葉はとても幸せそうで、本当にメンバーのことが好きでたまらない様子が強く伝わってきた。
オープニングからキラキラポップなアイドルソングで駆け抜けてきたわけだが、ここに来てクールで攻撃的な9bicへと一変。「WOLF」により雄々しい一面を魅せていく。大人びた声で歌う仮屋瀬、冷たい流し目をする椚三波斗、“ギュッてした”で色気を放つ四季涼雅。笑顔とは違う表情を覗かせる6人を見ていると、品行方正な王子様の本性に触れたようで、思わずドキリとさせられる。「creature」では炎もあがり、ヒリヒリとする彼らの熱がファンの心を焦がしていった。
大きなイベントでは、毎回なにかに挑戦している9bic。今年のアニバーサリーでは、メンバー全員でバンドに挑戦し「革命シューター」と「そんなの好きになっちゃうじゃん」を披露した。市川がドラムとして基盤を担い、六花清春がベースで寄り添いながら支えるさまは、普段の彼らを見ているよう。それぞれが役割を全うしながら、音楽を呼吸させている姿は、歌とダンスとはまた違うエモーショナルが存在していた。
仮屋瀬が「次は僕たちがみんなに会いに行きます!」と宣言すると、メンバーは9BICARを彷彿させるトロッコに乗りこんだ。「gimme」や「ハコイリムスコ2」といったポップチューンに合わせて、ぴあアリーナMMをぐるっと回っていく6人。「まさかここに来てくれるの?」と思うほどの急接近&ファンサービスに、オーディエンスは喜々として沸き上がった。「中辛エクスタシー」ではMVに出演したパンダも登場し、一緒にダンス。キレのあるパフォーマンスで会場をさらに盛り上げていく。
ステージからメンバーが去ると、9bicの歴史を振り返るVTRがスクリーンに映し出された。どんなときも必死で走り抜けてきた6人の勇姿、オルゴールアレンジの「ありがとう」、“世界中がこんな姿になっても 6人なら乗り越えていけるって思ったんだ”というメッセージ。たった2年とは思えないほど濃い彼らの歩みは、畳み掛けるように涙を誘う。感動が頂点に達したとき、この日一番高くつきあがったセンターステージから、衣装チェンジをしたメンバーが現れた。
奏でられたのは、初披露となった「Campanula」。仮屋瀬の柔らかい歌声で封を切ると、6人でバトンを渡すように、言葉ひとつひとつを丁寧に紡いでいく。“僕は君がいれば ずっと輝き続けるよ”なんて歌詞も、アイドルソングにすればありきたりかもしれない。それでも薄っぺらく聞こえないのは、確固たる決意が歌に乗っているからなのだろう。まっすぐで力強い六花のフェイクに、舞い落ちる花吹雪が重なると会場のエモさは最高潮。四季は目頭を押さえ、ほかの5人も瞳をうるうると煌めかせていた。
このまましっとりムードが続くのかと思われたが、「proof」を投下してガラッと場内の空気をチェンジ。煌びやかなアイドルオーラを解き放つと、ラストスパートをかけていく。「Aaliyah」では椚を背負った六花がステージの端から端までをダッシュし、「Secret love」ではサビの“I fell in love with you”で双葉のウインクが炸裂。“最後の最後まで楽しませよう”という心意気が歌・ダンスのみならず、パフォーマンスひとつひとつに表れていた。「Love SPLASH」で余すことなくファンへの愛を伝えきり、本編を締めくくった。
全身全霊で19曲も披露したというのに、9bicの勢いは止まらない。再びトロッコに乗って登場し、「Police hunter」「夢喰いヴァンパイア」「Hero」と怒涛のアンコールを繰り広げる。会場の端から端まで視線を配りファンサービスしていく姿には、今できる精一杯をやりきろうという志がにじむ。ラストソングを飾ったのは、六花が加入して初めてのリリースとなった「congruity」。“一人も欠けちゃ届かない 僕らだけの夢”のフレーズが強く響いたのは、その“僕ら”が9bicだけを指しているのではなかったからなのだろう。プロデューサーであるYapp!と米村海斗、彼らを支えているスタッフ、そしてひとりひとりの立方隊。誰一人欠けることなく、より大きな夢を掴むのだと凛としたまなざしが謳う。Wアンコールで再び「klaxon」をパフォーマンスし、記念すべき2周年ライブをやりきったのだ。
この世界には、魔法をかけてくれるおばあさんもいなければ、願いが叶う銀色の靴もないし、眠りを起こしてくれる王子様だっていない。そんな絵空事が存在しないと鮮明にわかってしまう時代だからこそ、泣いて笑って成長しながらたくさんの煌めきをくれる9bicのようにリアルな光が必要なのではないだろうか。ぴあアリーナでのライブを成功させたといえど、彼らは活動を始めてまだ2年あまり。ここからさらに成長を重ね、カンパニュラ以上の大輪を咲かせる日が楽しみだ。
TEXT:坂井彩花
【セットリスト】
01:klaxon
02:U.F.O. GAME
03:ドクドク
04:カフェラテ
05:ONE!
06:9bic melody~2nd Anniversary ver.~
07:WOLF
08:creature
09:革命シューター
10:そんなの好きになっちゃうじゃん ~performed by Bloc from 9bic ver.~
11:gimme
12:ハコイリムスコ2
13:99%
14:中辛エクスタシー
15:Campanula
16:proof
17:Aaliyah
18:Secret love
19:Love SPLASH
ec-1:Police hunter
ec-2:夢喰いヴァンパイア
ec-3:Hero
ec-4:congruity
w-en:klaxon
9bic
「現在(イマ)を生きる王子様(プリンス)達」をコンセプトに活動する、6人組のメンズアイドルグループ。アイドルとして活躍する傍ら、”ハコイリムスコ”名義でYouTuberとしても活動。現在を生きる若者らしく、TikTok、Twitter、Instagramなどを使いこなし、SNS総フォロワー数は150万人超。ティーンの間で人気急上昇中!
Official Site:https://9bicofficial.net/
Download & Streaming:https://big-up.style/artists/161420
Official Fanclub『9bic House』:https://9bicfc.net
Twitter:@9bic_official
Instagram:@9bic_official
TikTok:@9bic_official
YouTube:「ハコイリムスコ」で検索!
9bic Live Information
WAIWAI LIVE 2021 ~X’mas Edition~
■出演者
9bic / 7m!n
■会場
ぴあアリーナMM
■開催日時
2021/12/26(日)
1部 13:30 開演 ( 12:00 開場 )
2部 18:30 開演 ( 17:00 開場 )
詳細はこちら:
https://9bicfc.net/contents/445606
9bic 2nd Anniversary Exhibition ~Campanula~ 開催決定!
9bic(キュービック)が渋谷マルイに期間限定で、デビュー2周年を記念して、彼らの2年間の軌跡を辿る展示会を開催。9bicの楽曲をフューチャーした空間を造形、展示いたします。
その他にも実際に使用した衣装やセットなど、多数展示予定です。
それに伴って、限定グッズの販売も決定。今までには無い楽曲にフューチャーした9bicの世界観をより楽しんでいただけるようなラインナップでお届けいたします。
■開催期間:
2021年10月8日(金)~2021年10月24日(日)
■開催場所:
渋谷マルイ 6Fイベントスペース
〒150-0041
東京都渋谷区神南1丁目22−6
■営業時間:
11:00~20:00
※営業時間は急遽変更となる場合がございます。予めご了承ください。
■展示会入場料:
税込み 1,000円(ランダムサイン入りポストカード付)
詳細はこちら:
https://9bicofficial.net/2021/09/22/9282/
9bic Zepp Tour 2022
ツアー日程
2022/1/9(日) Zepp Nagoya
2022/1/16(日) Zepp Sapporo
2022/1/23(日) Zepp Fukuoka
2022/1/30(日) Zepp Osaka Bayside
2022/2/6(日) Zepp Haneda
ツアー詳細はオフィシャルサイトより後日発表:
https://9bicofficial.net/