撫子では終わらない、幸せな狂乱を。femme fataleワンマンライブ 戦慄かなの生誕祭「お騒がせファビュラス、23歳になったよぅ」ライブレポート

2021年11月09日 | ピックアップ
坂井 彩花
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日本人女性の美しさを花になぞらえた“大和撫子”なんて言葉がある。奥ゆかしく、清らかで、凛とした慎ましい女性を指す表現なわけだが、今となっては随分と古風な生き様だ。現代を生きる女は、無意味に男性の三歩後ろを歩いたりなんかしない。好きなものへ貪欲に手を伸ばし、なりたい自分を謳歌し、誰かの人生を巻きこんでいく。femme fataleのライブを見て感じたのは、そんな強さだった。

femme fataleのワンマンライブ『戦慄かなの生誕祭「お騒がせファビュラス、23歳になったよぅ」』は、EX THEATER ROPPONGIにて9月10日に開催された。女性アイドルというと、男性ファンで埋め尽くされた会場を想像しがちだが、この日駆けつけたファンの大半は女性。憧れのミューズとして、ふたりが同性から支持されていることを堂々と物語っていたのである。

生誕祭はfemme fataleでパフォーマンスする前編、戦慄かなののソロステージ後編の2部構成で行われた。サイリウムが煌めくなかステージの奥から現れると、ケンモチヒデフミが作詞・作曲を手掛けた「鼓動」でライブは開幕。手の角度や振り返るタイミングなど細かなニュアンスまで揃っており、シンクロ率の高さは「さすが姉妹」といったところ。踊るたびにたゆたゆと揺れる頓知気さきなのポニーテールはあまりにも可憐で、強いアイドルイズムを感じさせた。ディスコチューンの「フェイズ」にファンクナンバーの「ピューピル」が続き、出だしからハイテンションなステージを展開。時にはお立ち台にも上り、オーディエンスを盛り上げていった。

「down shout leaf」では指差しやキュンポーズを交えた振付でアイドル感満載のパフォーマンスを繰り広げ、「安眠swimming」ではセクシーなオーラをこれでもかと振りまく。クールなダンスを新曲の「Cupid」で披露すると、多彩な魅力で観客を惑わせていった。可愛さに振り切ったり、妖艶さで魅了したり、凛とした眼差しを投げかけたり。楽曲ごとに違う側面を魅せていくfemme fataleは、筋の通った美意識と掴めない不確定さを兼ね備え、まさしく魔性の女。その底知れなさに、隠し子(femme fataleのファン呼称)がハマっていってしまうのも無理はない。ふたりで楽しそうにアイコンタクトを取りながら「Club Moon」を魅せきると、前編を締めくくったのだった。

戦慄かなののソロパートは、ダンサーチームのビッチーズを引き連れたダンスコレオからスタート。femme fataleが女性の秘めたる魅力を表現していたのだとすれば、戦慄かなのが魅せるのは女性の持つハツラツとしたエネルギーだ。潔く出された脚も腹も胸元も異性に媚びるためのチャームポイントなんかじゃない。女を楽しみつくすと共に自立した強さを放つ、パワフルなファイティングポーズである。メリハリのあるダンスで惹きつけると、「Fire Paan」まで一気にかけていく。

ステージの上で“可愛い”と“かっこいい”を自由に行き来しながら、自身の世界観を強く見せつける戦慄かなの。指の先までこだわったパフォーマンスには、彼女の完璧主義な人柄が滲む。「Baby UFO」で投げキスを放ちファンを悩殺すると、アコースティックパートへ突入した。
「バタフライ」と「サバイバー」では、スタンドマイクに声を落としこんでいく。ギターで構成されたシンプルなトラックは物足りなさを感じさせるどころか、ただ甘いだけでなく霧のベールがかかったような戦慄の声を引き立てる。観客席を端から端まで見渡す視線は「この光景を忘れまい」と目に焼き付けているようだった。

しっとりしたセクションを経て、怒涛のラストスパートへ。新曲の「soda」を投下し、場内のボルテージを一気にあげていく。飛び跳ねるながら王道EDMなナンバーを乗りこなすさまは、さながら目を離す隙のないアクション映画のヒロイン。強気な表情で「drop」をやり遂げ、ライブの幕を下ろした。

この日は、戦慄のバースデーイベントということもあり、ライブ終了後にはフラワーケーキを持った頓知気がビッチーズと共に登場。ファンからのプレゼントも手渡され、戦慄の「愛してるよ」という声が響いた。

ステージ上で自由に歌い踊り、自身も楽しみつくすfamme fataleは、美徳のひとつとされる“大和撫子”からは真逆の存在かもしれない。しかし、だからこそどうしようもなく引き寄せられる力がある。桜のように可憐で、すみれのように健気で、金木犀のように記憶に残り、バラのようにトゲがある。“撫子”だけではくくれない魅力を併せ持った彼女たちこそ、たくさんの人の人生を狂わせていく運命の女なのだ。より多くの人が幸せな狂乱に惑わされていく日が、今から楽しみでならない。

TEXT:坂井彩花
PHOTO:横山マサト

●セットリスト
・femme fatale
鼓動
フェイズ
ピューピル
down shout leaf
安眠swimming
Cupid
Club Moon

・戦慄かなの
ダンスコレオ
Fire Paan
Baby UFO
バタフライ(アコースティック)
サバイバー
soda
drop

femme fatale

戦慄かなの、頓知気さきなの実姉妹による、無所属の完全セルフプロデュースユニット。
2018年10月22日デビュー。
戦慄は初ライブの時点でZOCでの活動を既に始めており(2020年7月8日に卒業)、頓知気も2019年より「青春高校3年C組」(テレビ東京)にレギュラー出演していることからfemme fataleとしてのライブ出演は多くなかったが、2020年より2人でYouTubeやネットラジオ、TikTokを本格的に開始。
11月13日にはそれまで2年間の活動を総括して、MV・ライブですでに披露していた既存曲6曲を収録したミニアルバム「femme fatale」と、表題曲「安眠swimming」、YouTuberゆゆうた作曲、戦慄かなの作詞のコラボ楽曲「恥晒し(feat.ゆゆうた )」の新曲2曲を収録したシングルを2枚同時発売した。
リリースに合わせ11月1日の札幌公演を皮切りに、大阪、名古屋、福岡の4カ所でワンマンライブを開催。コロナ渦の中での開催ではあったが、毎回チケット応募数が販売枚数を大幅に上回り、全公演ソールドアウトとなった。

Twitter:@femme_idol
YouTube:femme fatale
TikTok:@femme_idol
FanClub:https://fuckin-femmefatale.jp/

「Club Moon/Cupid」


femme fatale結成3周年を迎える10/22(金)に「Club Moon/Cupid」の2曲入りCDシングル発売。

femme fatall 10月22日(金)発売
Single「Club Moon/Cupid」
品番:ff004
価格:1,650円(税込)

【配信】
https://orcd.co/femmefatale_clubmoon-cupid

この記事を書いた人

坂井 彩花
Music Worder。音楽とお酒と人が好き。 Twitter:@ayach___

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