MADKIDインタビュー。いろんな境界線を越えていく、MADKIDの表現スタイル。

2022年09月05日 | インタビュー


8月24日に2ndアルバム『BOUNDARY』を発売したMADKID。”BOUNDARY=境界”という言葉が意味するように、彼らは、いろんな境界線を乗り越え、新たな生き方を示してきた。彼らの今の心境を、アルバム『BOUNDARY』を紐解く形でお伝えしたい。

アルバム『BOUNDARY』は、遊び心さえクリエイティブな形に昇華していける環境下だからこそ生まれた作品。

──アルバム『BOUNDARY』には、今のMADKIDの生きざまや考え方がいろんな楽曲を通して描きだされています。完成したアルバム『BOUNDARY』を今、どんな気持ちで受けとめています?お一人ずつメンバーみなさんに伺えればと思います。

SHIN


ボーカル。3歳よりダンスを始める。故郷の宮崎をこよなく愛する。
夢に向かうひたむきな熱意と、華やかなダンスパフォーマンスが魅力。
Twitter:@SHIN_MDKD
Instagram:@shin_madkid

SHIN MADKIDは2年前に自分たちで会社を立ち上げ、運営を自分たち自身で分担してやっています。アルバム『BOUNDARY』は、遊び心さえクリエイティブな形に昇華していける環境だからこそ生まれた作品になりました。LINが作曲した『Play (feat.Hylen)』は、メンバーみんながLINの家に集まり、その場のアイデアで作りあげた楽曲。あのときに感じた「一緒に楽しみながら音楽を生み出す」感覚がすごく新鮮で。そういう環境のもとで作りあげたことを含め、よりMADKIDの音楽を自分たちで楽しみながらクリエイトしていける環境にいれることが、今はすごく楽しいんです。嬉しいのが、メンバー一人一人が「今の環境を変えよう」という強い意志を持って活動をしていること。

自分自身、これまで他のメンバーに頼りきっている面もありました。でも、すべてを自分たちでクリエイトしていく環境を作り出したことから、自分の意識も大きく変わりました。一番の変化は、自分一人でクリエイトしていくだけの力をみずからも持たないといけない意識を持つようになったこと。

──それは、自分のスキルに磨きをかけていくということですか?

SHIN そうです。もちろん、MADKIDはチーム一丸となって夢や目標に向かって突き進んでいます。そのために今、一人一人が得意な分野のスキルアップを心がけています。そこで一人のほほんとしていたら、チーム全体の足を引っ張りかねない。MADKIDは、ものすごく力のあるグループ。MADKIDの進化のために4人が自分に磨きをかけているのを身近で見ているからこそ、自分自身も成長を続けながら、グループの進化に貢献してしいきたい。ボーッとして過ごしていたら、何時の間にか他のメンバーに置いていかれた…にはなりたくないですからね(笑)。

個人的には、作詞や作曲技術を身につけたい。音楽活動をしている以上は、自分の表現したい音楽を、具体的な形でMADKIDの音楽に反映したいですからね。それがいつになるのかは正直見えてないけど(笑)。その意識を持って今、進み続けています。

LIN


ラッパー。音楽制作をメインで担当。
独特のザラついた声と聞くものを虜にするラップワークが魅力。アクロバットもこなす多彩な存在。
Twitter:@LIN_MDKD

──MADKIDの音楽制作面を担うLINさんは、今、はどんな意識でいます?

LIN 僕らの強みは、遊びの中で得る刺激も作品に転換していけること。人が「楽しい」と感じる音楽を作るうえで、自分たち自身がその楽しみを享受し、作品化してゆくのは大切なことだと思います。自分自身がそうやって音楽を制作し続けたからこそ、こうやって1枚のアルバムにまとめることが出来た。それが出来るのも、自分たちで音楽を創出していける環境のおかげです。まだまだ求める理想は高いけど、そこへ進んでいくための大きな足跡になったのが『BOUNDARY』というアルバム。それを形として残せたことに、今は喜びを感じています。

──LINさんも、日々の生活すべてが音楽をクリエイトしてゆくことへ繋がっている環境だ。

LIN そうですね。自分自身、けっして毎日をエネルギッシュに生きているタイプではないです。だからこそ、ここぞというときに力を発揮した曲たちを、こうやって1枚の作品にまとめられたことが嬉しいんですよ。
MADKIDは、ほとんどの楽曲の作詞をメンバーで担当しています。そこへ自分たちの強い意志を記しているからこそ、楽曲面ではいろんな人と手を組み、いろんな色に染まっていける。どんな色に染まっても、MADKIDとしての意志が見えてくるから、あえてカラフルな音楽性も示していける。それを見せたのが、『BOUNDARY』というアルバム。MADKIDにとってはもちろん、自分にとっても大事な1枚が生まれました。

世界中のアニソンファンたちから支持を集めれば、それが自分たちの新たな指針を導き出すことにも繋がりました。

YOU-TA


ボーカル/リーダー。中低音が響く力強い歌声が魅力。
高校時代まで野球一筋で育つ。高校生の時に友達とカラオケに行き、自分の歌で泣いてくれた人がいた事をきっかけに音楽に目覚める。
Twitter:@YOUTA_MDKD
Instagram:@youta_madkid

──YOU-TAさんは、アルバム『BOUNDARY』をどのように受け止めています?

YOU-TA MADKIDにとっても、もちろん自分の中でも、大事なアルバムになった気持ちは強いです。その想いを持ったうえでの話になりますけど。今のMADKIDの名前を、世界の方に知って頂くきっかけになったのが、アニメ『盾の勇者の成り上がり』のオープニングテーマ『RISE』を制作したことでした。(*現在までにMADKIDは、アニメ『盾の勇者の成り上がり』シリーズへ、『RISE』『FAITH』、アルバム『BOUNDARY』にも収録した『Bring Back』と3曲を提供。)どの楽曲も世界中のアニメファンの方達から大きな反響を頂けて、それが自分たちの新たな指針を導き出すことにも繋がりました。アルバム『BOUNDARY』で提示した「境界を越える」というテーマは、まさに、そこに由来したもの。ダンス&ヴォーカルグループとしてスタートしたMADKIDが、ギターやベースの音も加え、ロックの要素を強調した今のスタイルに進化したことも、常識を超えたところで勝負していけるグループへの進化を求めた結果であり、今も追求し続けています。
LINの作ったアルバムのリードトラック『Fight It Out』は、まさにMADKIDだからこそクリエイトできた、かなり攻撃的なトラック。それも、ここへ至るまでのいろんな経験の蓄積があって生まれたもの。アルバム『BOUNDARY』は、今のMADKIDの姿はもちろん。ここへ至るまでに進化・成長してきた道筋も見える作品。そういう1枚を作りあげられたことも嬉しいです。

──『Fight It Out』『Critical Point』と激しいダンスロックを提示。その後に続く、LACCO TOWERの真一ジェットさんが提供した『グッバイ・ティーンエイジャー』でガラッと表情を変えてきたのも、嬉しい驚きでした。

YOU-TA アルバム全体を通しての話になりますが、途中途中にクッションとなる楽曲を差し込むことで、アルバム全体の流れにより良い表情が生まれ、より楽しんで聞くことが出来るかなと思って曲順を決めました。
『グッバイ・ティーンエイジャー』を提供してくださった真一ジェットさんは、レーベルメイトであり、僕らの大先輩にあたる方。曲を提供するうえで、MADKIDのいろんな楽曲を聞いて研究してくださって、グループと楽曲の相性もとても良くて、僕らも思いきり歌い上げることの出来た楽曲になりました。

KAZUKI


ボーカル。10代の頃から舞台を中心に俳優として活動していたが、MADKID加入をきっかけにアーティストに転向。
艶やかに響き渡るハイトーンボイスが魅力。
Twitter:@KAZUKI_MDKD
Instagram:@kazuki__tanabe

──KAZƵUKIさんの、アルバム『BOUNDARY』についての印象も聞かせてください。

KAZUKI SHINも話していましたが、このアルバムを作るときに「全員でラップをやる曲を入れよう」というアイデアが出てきました。それが、LINの家にみんなで集まって作りあげた『Play (feat.Hylen)』でした。LINの家に集まる前、それぞれにラップのリリックの構想を練っていたとはいえ、歌う順番を含め、その場で細かいことを決めて、ほぼぶっつけ本番でレコーディングを行いました。それが本当に楽しかった。
いつもの構築した音楽制作とは異なり、その場で生まれるアイデアを反映しながら作り上げていくやり方が、とにかく楽しかったんですよね。『Play (feat.Hylen)』のラップからは、各メンバーのキャラクターも明瞭に見えてくるから、そこも聞いてて楽しいところだと思います。それこそ、冒頭を飾ったSHINが宮崎弁バリバリのラップをぶつけてきたときは、「ヤラれた」と思ったからね。自分も、「俺らはこっから成り上がる」とライムしながらも、「社長さん、給料あげてください」と思わず本音を漏らす形でリリックを構成しています (笑)。

──あのラップからは、KAZUKIさんの本心がいろいろ見えてきました。

KAZUKI  メンバーの中で、一番リアルかも知れない(笑)。他にも、アルバムの特徴と言えるのは、初めてカバー曲を入れたこと。今年のMADKIDの目標として掲げていたのが、夏に行われる「アニサマ」へ出場すること。その願いが叶い、8月27日にアニサマに出演します。これからはもっともっとアニソンの世界へ足を踏み入れて活動をしていきたいし、そのシーンの中で、さらにMADKIDの名前を深く浸透させたい。その思いから、MADKIDのYouTubeチャンネルでアニソンのカバー動画をアップしています。その流れの中で、僕らが憧れているFLOWさんの楽曲をアルバムにもカバー収録しようという話になり、『Sign』を収録しました。
僕らが初めてアニソンカバーをしたときに歌ったのが、FLOWさんの『GO!!!』でした。FLOWさんの楽曲をアルバム収録曲として選んだのも、そのときの反響の大きさがきっかけでした。アルバムでは、オリジナル曲の『No border』、FLOWさんの『Sign』と続く形で構成しています。ここは、ライブで熱狂してもらえる流れを想像したうえで構成しています。ぜひ、ここの流れにも注目して聞いてください。

その境界を超えた先に進み、より新しいダンス&ヴォーカルグループのスタイルを示したいし、僕らならそれが出来ると思っていた。

YUKI


ラッパー。LINとともに音楽制作を担当。中学生の時にマイケルジャクソンに憧れて音楽を始める。
ハイスピードながら熱情溢れるラップと、スタイリッシュなダンスパフォーマンスが魅力。
Twitter:@YUKI_MDKD
Instagram:@zeeeeero_yuki_
TikTok:@feelsogood2d

YUKI 僕らがMADKIDを始めた頃と比べたら、ダンス&ヴォーカルグループの数も、ものすごく増えています。むしろ、踊りながら歌うのは当たり前、くらいまで認知されたなと感じています。僕らにとってそれは嬉しいことでもありますが、だからこそ、MADKIDはそこから一歩抜きんでた新しいスタイルを作り上げたいとも思っていました。今ある「ダンス&ヴォーカルグループはこう」という枠組みから外れて、より新しいスタイルを示したいし、僕らならそれが出来ると思っていた。それを提示したのが、今回のアルバム『BOUNDARY』です。それを顕著に感じられるのが、ライブだと思っています。ロックバンドのライブのような勢いや迫力は、他のダンス&ヴォーカルグループには無いスタイル。そこに、MADKIDだからこそのスタイルを感じてもらえると思います。
そしてもう一つ境界線を超えた表現をしているのが、先にも言葉の出ていたアニソンシーンへの挑戦。従来のアニソンではラップをメインに据えたテーマ曲が少なかったからこそ、MADKIDはそこを切り開きたかった。それを最初に示したのが、アニメ『盾の勇者の成り上がり』のオープニングテーマとして提供した『RISE』でした。
僕らは『RISE』を通して、キャッチーな歌やラップを軸にダンスミュージックに生楽器を加え、ロックの要素を際立たせました。結果、それがMADKIDの新たな音楽スタイルを築き、いろんなジャンルや常識の境界線を超えて表現してゆく今の自分たちの道へ繋げてくれました。アルバム『BOUNDARY』は、ここまでのMADKIDの進化の歩みも感じることが出来る作品になりました。そこにも注目してもらえたら嬉しいですね。

──今のMADKIDは、いろんな境界線を超えた表現活動をしているんですね。

YUKI そうですね。意図的にというよりも、自分たちの表現欲求を貪欲に求めた結果、僕らはジャンルや常識を飛び越え続けてきた。なので、いつの間にかさまざまな境界線を越える活動をしていた…と言ったほうが正しいと思います。

──アルバムのタイトルに『BOUNDARY』と付けたのも、自然な流れだったんでしょうね。

YOU-TA 僕ら自身、活動を始めた頃は、いろんな人たちにMADKIDの音楽を知ってもらおうと努力しながらも、「ダンス&ヴォーカルグループ」という枠を越えて支持を得ることがとても難しかった。その境界線を越える最初のきっかけになったのが、アニメ『盾の勇者の成り上がり』のテーマ曲として『RISE』を歌ったことでした。そこからアニソンの世界でも支持を得ることが出来たので、世界の方に音楽を聴いて頂くチャンスが生まれました。

──アニソンシーンに関しては、今や世界が舞台ですもんね。

YOU-TA そうですね。僕らも間もなくアメリカで開催される「Cryncyroll Expo 2022」へ出るために渡米します(8月初旬に行われた)。ただし、MADKIDがアニソンの世界へ挑むうえで心がけているのが、自分たちのスタイルを変えないこと。MADKIDの音楽スタイルでアニソンの世界に挑戦したいと思っています。どんな環境の中にいようと自分たちのスタイルを貫いたことが、結果的にそれぞれのシーンの中でも新しい支持につながると思います。そうやって、いろんな境界線を越えていくのがMADKIDの表現スタイルだし、そこへ、これからも磨きをかけていくのみです。

──9月からは、名古屋・大阪・仙台・福岡・東京と続く全国ツアーがスタートします。

YOU-TA 僕らとしては、8月27日に出演する「アニサマ」をツアーへ向かう足掛かりにし、そこでさらにたくさんの人たちと出会い、そこで得た手応えを持って各地をまわろうと思っています。今回は、『BOUNDARY』というバラエティ豊かな楽曲を収録したアルバムを手にしてのツアー。かならず気に入ってもらえる楽曲があるという自信を胸に、僕らはアルバム『BOUNDARY』を作りました。この作品に触れ、その人自身のお気に入りの曲を見つけてほしいし、ライブを通して僕らのパフォーマンスにも熱狂してもらえたらなと思います。
今の僕らがやるべきことは、目の前にあることへ全力で立ち向かい、触れた人たちを思いきり楽しませること。ぜひ、一緒に全力で楽しみませんか?!

TEXT:長澤智典

MADKID

2nd ALBUM「BOUNDARY」
2022.8.24. RELEASE


Type-A(CD+DVD)
¥4000(TAX IN)
COZP-1936/7


Type-B(CD only)
¥3000(TAX IN)
COCP-41819

TRACKLIST

1.Fight It Out *リードトラック
2.Critical Point
3. グッバイ・ティーンエイジャー
4.Gold Medal
5.Interstella Luv
6.Blooming
7.LINKAGE
8.No border
9.Sign (FLOW) Cover by MADKID
10.Play (feat.Hylen)
11.REBOOT
12.Bring Back

Fight It Out Music Video
Music Video Behind The Scenes
RISE(Live Video*)
FAITH(Live Video*)
Bring Back(Live Video*)
*2022.6/4 開催 MADKID ONE MAN LIVE
-Bring Back-SPECIAL SHORT LIVE

MADKID LIVE TOUR 2022 -BOUNDARY-

9月3日(土)【名古屋】伏見ライオンシアター
DAY:14時30分開場/15時開演
NIGHT:17時30分開場/18時開演

9月4日(日) 【大阪】心斎橋VARON
DAY:14時30分開場/15時開演
NIGHT:17時30分開場/18時開演

9月10日(土)【仙台】space Zero
DAY:14時30分開場/15時開演
NIGHT:17時30分開場/18時開演

9月17日(土)【福岡】INSA
DAY:14時30分開場/15時開演
NIGHT:17時30分開場/18時開演

9月23日(金・祝)【東京】LIQUIDROOM
17時開場/18時開演

MADKID

2014年結成。
圧倒的なラップワークと力強いボーカルから成る5人組ダンス&ボーカルグループ。
日本では珍しい、2ラッパー3ボーカルの編成で唯一無二のパフォーマンスを魅せる。
2018年メジャーデビュー。

2019年2月にリリースしたシングル「RISE」がTVアニメ「盾の勇者の成り上がり」オープニングテーマに起用されて海外を中心にヒット。
YouTubeでの総再生回数は約2000万回に及ぶ。
2019年4月にメジャー1stアルバム「CIRCUS」をリリース。同作収録のリード曲「FAITH」はYouTube再生回数700万回を突破。
2019年8月にはアメリカで開催されたクランチロールエキスポに出演し、そのパフォーマンスを絶賛される。
2020年9月に所属事務所を独立。自ら設立した事務所「Future Notes」にメンバー全員が移籍し、新たなスタートを切る。
2022年7月、2ndアルバム『BOUNDARY』(8/24発売)の収録内容を公開!

Official Site:https://columbia.jp/madkid/
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この記事を書いた人

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