壮大な夢として語るなら、ハリーポッターのような世界観にまでSing Sing Rabbitのストーリーが広がったらなとも思っています。

2022年10月25日 | ミュージック

ウサギのマスコット型のフードをかぶった姿が、可愛くてミステリアス。でも、ウサギのフードを取ると、中からは、さらにチャーミングな女性が顔を覗かせていた。
 香港をベースに活動中。今や、中国/台湾/韓国などアジア各国で人気を獲得。アーティスト/クリエイターとしてアジア各国を舞台に活動中のSing Sing Rabbit。彼女の表現活動の内訳を細かく見ていくと、多種多用な表現活動をしてゆく顔が見えてくる。Sing Sing Rabbitには、まさに”マルメディアクリエイティブアーティスト”としての名前が相応しい。
このたび、『恋花』SING SING RABBIT feat. endy jaugwokyinをデジタルリリース。日本での活動を前提に作りあげたこの楽曲の見魅力を伝えようと、リリース時期に合わせて来日。この機会を逃すまいと、彼女をつかまえた。

とても強引な方がいて、わたしの顔をカメラに納めようと、わたしのウサギのフードをみなさんの前でいきなり取ってしまいました。


──Sing Sing Rabbitさんといえば、トレドマークがうさぎのフード。なぜ、それを身につけるようになったのか教えてください。

Sing Sing Rabbit これは、本当に偶然の出来事から生まれたことでした。わたしは,2011年から音楽創作活動を始めました。当時は、マレーシアの歌手张智成 Z-Chen ジャンジィチェンの「May I Love You」に男性の歌の部分を10個入れて、「一歌十唱」という新しい作品にした二次創作のアイディアで、自分で歌い楽曲を作り続けていました。その楽曲をたくさんの人たちに聞いてもらおうと始めたのが、YouTubeでの動画配信でした。
ただし、わたしは”自分の作った音楽”にしっかり耳を傾けて聞いてもらいたかった。YouTubeは映像チャンネルですから、そこで自分のビジュアルを出してしまうと、歌声だけではなく、自分のビジュアルも含めたうえでの音楽という捉え方になってしまう。そこに懸念を覚えたことが、最初のきっかけでした。

──そこから、どうしてウサギの フードへと??

Sing Sing Rabbit 音楽に集中してもらうなら、人の姿を映すのではなくキャラクターを投影したほうが、むしろ映像を気にすることなく自分の音楽に集中してもらえる。そう考えて、知り合いのデザイナーの方にお願いをして、今のうさぎのフードを作ってもらい、Sing Sing Rabbitと名乗り、それをかぶって歌う映像を撮っては、次々とYouTube上へアップし続けました。
これは、わたしの嬉しい誤算になりますけど。うさぎのフードをかぶって歌ったことで、楽曲の評判はもちろん。そのキャラクター自体が注目を集め、香港はもちろん。とくに台湾で話題を集め、「この子は一体誰なんだ」と謎が謎を呼び、一気にバズりました。そこからです、うさぎのフードをかぶったSing Sing Rabbitというキャラクターが脚光を浴びるどころか、そのスタイルが人気を博し、その格好で活動を行うのがスタンダードなスタイルになったのは。

──今もうさぎのフードをがぶりますが、普段はおしゃれなマスク姿が多いですよね。

Sing Sing Rabbit それにも理由がありました。バズって以降、台湾では追っかけの人たちが現れるほどの支持を集めました。そんな中、台湾へお仕事で足を運んだときのことでした。わたしのことを追いかけてくださる方々には、ファンの人たちだけではなく、台湾のメディアの方々もいました。その中にとても強引な方がいて、わたしの顔をカメラに納めようと、わたしのウサギのフードをみなさんの前でいきなり取ってしまいました。わたしは常日頃から、公衆の面前に出るときは、念のためにとマスクも付けたうえでフードをかぶっていたから、フードを取られても、出てきたのは今のようなマスク姿だったから、そこは大丈夫でした。
正直、きっかけは悲しいハプニングからでしたが、その事件のとき以来、うさぎのフードをかぶるだけではなく、今のようなマスク姿と使い分けるようになりました。わたし自身ずーっとフードをかぶり続けるのは大変だったから、結果的に良かったなと思いました。

──怪我の功名というべきなのか。それが、今の使い分けたスタイルへ繋がったわけですからね。Sing Sing Rabbitさんといえば、おしゃれなマスク姿が多いじゃないですか。あれは…。

Sing Sing Rabbit 自分で手作りしています。わたし自身、ファッションはとても興味関心のあること。以前は、香港のメディアからファッションコラムのライターとして招かれ、ファッションについて書くことになったのです。その時、私は自分が書いたファッションの服を着るモデルにもなりました。今も、ファッションの仕事には携わっています。
マスクも、いろんな服のスタイルに合わせ、その服のデザインに似合うマスクをと、いろんな布や素材を集めては一つ一つ手作りしています。服に合わせたマスクをデザインしていくのも、わたしは大好きです。最近では、外枠だけをいろんなパターンで作り、中のマスクを着脱できるようにして、マスク自体のデザインを着替えるように楽しんでもいます。

──そのマスクを欲しがる人も多いんじゃないですか。

Sing Sing Rabbit  よく「どこで売っているの??」と聞かれます。でも、ぜんぶ手作りだから売っていないんですよね。ただ、そういう要望が増えてきたから、外枠だけ付け外しできる形で販売しようかと、今、ファッションブランドの方々と打ち合わせをしながら具現化できそうか模索もしています。

──商品化になることを楽しみにしています。Sing Sing Rabbitさんのファッション面でのこだわりも教えてください。

Sing Sing Rabbit 今日、着ている服は、自分のデザイン案を取り入れる形で、香港のデザイナーさんに作っていただいたものになります。腕の部分に大胆にカッティングを入れ、そのまわりをフリルで彩るなど、明るい色や、カラフルさを前へ前へと押し出した服を好んでいる傾向は強いです。個人的には、ただ「可愛い」だけではなく「可愛いけど格好いい」服を好む傾向は強いですね。

先日、endy jaugwokyinとデュエット曲として配信リリースした『恋花』のMVでは、黒を基調した、足の部分も大胆にカットした、可愛いけど格好いい寄りのスタイルも見せています。こういうスタイルも、わたしは好きですね。

──ゴシックやロリータ系のファッションへの興味はあります??

Sing Sing Rabbit わたし、カラフルな服も好きですけど、ロリータ系ファッションのような”可愛い”に振り切ったうえで”個性”を競い合っているスタイルは大好きです。わたしはファッションも、音楽も、何でもそう。どんなスタイルの中でも振り切ったうえで個性を出したい性格。だから、だからゴスロリ系のファションスタイルの方々の格好やスピリットはすごく共感します。

まわりに何を言われようと、自分の掲げた夢や目標をあきらめずにやり続けてほしい。わたしが一番やりたいことは、そういう思いをみんなに与え続けていくことです。

──Sing Sing Rabbitさんは、アーティストであり、クリエイターでもある。いや、それさえも超えた表現者。確か、今はご自身のことを…。

Sing Sing Rabbit ”マルチメディアクリエイティブアーティスト”と名乗っています。わたしがやりたいし、やっているのは、自分の頭の中に広がるアイデアを具現化してゆくこと。それが音楽であり、ファッションや映像であり、小説や空間プロデュースであったり。とにかく、自分の頭の中には、形にしたいアイデアがたくさん詰まっていれば、それを、いろんな方々の協力も得ながら形にし続けています。壮大な夢として語るなら、ハリーポッターのような世界観にまでSing Sing Rabbitのストーリーが広がったらなとも思っています。

──そうか、今のSing Sing Rabbitさんは、自分の頭の中に詰め込まれた物語を、いろんな形で具現化しているのですね。

Sing Sing Rabbit そうです。もちろん、自分で描いた夢や目標を具現化していくこともわたしのやりたいことですけど。誰にだって夢や目標があるじゃないですか。だけど、時に世の中の人たちは「そんなのできっこない」と上から目線で見下し、否定します。だけど、それであきらめてしまうのって、すごくもったいないことだとわたしは思います。わたしも、そういうことは何度も言われ続けてきました。でも、自分を信じてやり続けてきたことで、夢を一つ一つ実現出来てきたわたしがいる。だから、みんなにも同じ気持ちを持って、まわりに何を言われようと、自分の掲げた夢や目標をあきらめずにやり続けてほしい。わたしが一番やりたいことは、そういう思いをみんなに与え続けていくこと。だからわたしも、いまだにいろんなことを言われようが、自分を信じて挑戦し続けています。

──その気持ちが花咲き、日本での活動にも繋がっていますからね。

Sing Sing Rabbit そうなんです。

ふたたび日本へ行く段取りも勧めていたところ、世界中がコロナになってしまいました。

──ここからは音楽面の話をしたいのですが、Sing Sing Rabbitさんはアッパーでノリよいロックな楽曲から、切ないバラードまで、本当に幅広い音楽性を形にしていますよね。

Sing Sing Rabbit わたしは、本当にいろんなジャンルの音楽が好きです。ギターポップや激しいロックな表情も聞けば、K-POPだって聞いているし、J-POPも小さい頃から親しんできました。中でもMISIAさんや宇多田ヒカルさん、中島美嘉さんは小さい頃から好きでよく聞いていました。今回リリースした『恋花』がロックの要素も取り入れた、ポップなバラードになったのも、いろんな音楽性の影響を受けてきたからこそ、バラードというスタイルの中へわたしなりの個性を求めた結果だと思います。

──Sing Sing Rabbitさん自身、いろんな音楽性をミックスアップしてゆくことを楽しんでいますよね。

Sing Sing Rabbit 楽しんでいますけど。そもそも、人の気持ちというのは、一つの音楽スタイルだけで表現しきるのは難しいことだとわたしは感じています。人の感情には、ハッピーなとき、ロマンチックなとき、怒っているときなど、いろいろとあります。いろんな感情を音楽で表現したいとなったら、そこへ、自然といろんな音楽の要素が交わりだします。だから、わたしが表現する音楽には、いろんな要素が1曲の中へ入り交じっていくんだと思います。

──しかも、音楽性に合わせ、ファッションや映像もと、いろんな要素をすべて取り込んだうえで、その楽曲の世界観を作りあげている。そこにも、Sing Sing Rabbitさんらしいこだわりを覚えます。

Sing Sing Rabbit やっぱし、その曲ごとに伝えたいものを、いろんな形を持って伝えていくのが大事だし。それがわたしの表現してゆくうえでのスタイルだと思います。

──Sing Sing Rabbitさんは、よくJ-POPのカバーも歌っているじゃないですか。その理由も気になります。

Sing Sing Rabbit わたしの場合、オリジナル楽曲は自分で作詞・作曲を手がけています。もちろん、こだわりを持って制作しているからこそ、1曲完成するまでにもある程度の時間や期間を要してしまいます。でも、わたしはなるべく頻繁にファンの方々と音楽を通してもコミュケーションを取り続けていきたい。そこで選んだ手段が、わたし自身も大好きなJ-POPナンバーをカバーして定期的に届けることでした。じつはカバーに関しては、K-POPから英語の歌まで、多岐に渡って歌っています。

──アジアを中心にとはいえ、世界中にファンのいるSing Sing Rabbitさんですから、そうなりますよね。今回、香港の人気アーティストのendy jaugwokyinと、『恋花』を日本語でデュエットしました。その経緯も教えてください。

Sing Sing Rabbit わたしが、前回日本に来たのが2019年11月になります。そのときに、日本でわたしの楽曲をリリリースしようという話になりました。そのとき日本向けにと提案したのが、『恋花』でした。日本のスタッフの方々も、「これは日本人の心にも刺さる歌」ということで支持してくだされば、「日本語で歌おう」ということからprephonicさんに日本語の作詞を以来し、今の『恋花』が生まれました。ただし、当時はデュエットではなく、わたし一人で歌う予定でした。しかも、日本語でしっかり伝えたいからということで、日本語の発音の練習も重ねようと、レコーディングは改めて行う形にして、あのときは香港に帰国しました。
帰国後、ネット上で連絡を取り合いながら、具体的にレコーディングの日程なども含め、ふたたび日本へ行く段取りも決めていたところ、世界中がコロナになってしまいました。結果、リリース時期も、コロナの状況次第ということで延期になってしまいました。

──世界中が同じ状況へ陥っていたから、仕方ないといえば仕方のないことですよね。

Sing Sing Rabbit 確かに、何時、リリースのための制作を再開できるのかはまっかたく見えていませんでしたけど。でも、ネット環境があればコミュニケーションは取り続けていられたし、準備活動だってしていけるじゃないですか。だから、何時再開しても良いようにと準備活動は続けていました。
そうやって曲を温めていく中、ふっとわたしの意識の中、「この歌はデュエットのほうが似合うのではないか。しかも男性とのデュエットのほうが歌に深みが増す」と思い、それを提案。そのうえで、日本語でデュエットするなら誰が相応しいかなと探していた中で浮かんだのがendy jaugwokyinさんでした。

──endy jaugwokyinさんとは…。

Sing Sing Rabbit 以前からの知り合いでした。ただし彼は、わたしがSing Sing Rabbitとして活動をしていることをまったく知らなかったから、ここへ至るまでのストーリーを事細かに説明し、そのうえで改めてオファーをしました。そうしたら、「じゃあ一緒に歌おうよ」と言ってくれたことから、今回の形が実現しました。
もちろん、そこにはendy jaugwokyinのスケジュール面で調整が効いたことや、わたしも香港へ仕事で行くタイミングもあってのオファーでもあったように、これもいろんな運命が導いてくれたことだなと思っています。出来上がった楽曲を聞いたときも、男女のデュエットにしたことで、歌詞に込めた切ない思いを、男女の感情として表現したことで、より深みが出ましたからね。

けっこう山登りも流行っているみたいですよ。

──ちなみに、今の香港での流行りって何ですか?

Sing Sing Rabbit 日本とは異なり、今も香港ではコロナ制作で制限されることがたくさんあります。それでも、映画館の上映が再開したり、コンサート活動もふたたび行えるようになってきたことから、みなさんエンターテイメントな場へ足を運ぶことが増えています。コンサートだって、以前までは少なかったデュエット・コンサートなども増えています。でも、一番は運動かな。それまでずっと籠もりっぱなしの生活だったから、みんな身体を動かすことに勤しんでいますね。けっこう山登りも流行っているみたいですよ。

──最後に、改めて『恋花』について聞かせてください。

Sing Sing Rabbit わたしと、デュエット相手のendy jaugwokyinの声質は、男女だから以前に、それぞれ個性が強かったから、どんな風に交わるのかという心配もありました。でも、出来上がったのを聞いていただけたらわかるように、互いに刺激もしあえば、綺麗にハーモニーも描いています。本当に良いコラボレートになりました。その成果をぜひ聞いてください。それと、『恋花』は切ない歌詞ですけど、切ない中にも希望を持っている楽曲ですから、この歌を聞いて、みなさんもポジティブな気持ちになってくれたら嬉しいです。まずは、一度触れてみてください。よろしくお願いします。

TEXT:長澤智典

Sing Sing Rabbit Information


「恋花」Sing Sing Rabbit feat. endy jaugwokyin
2022年10月20日(木)配信開始
https://big-up.style/2ZavlaNHVz

WEB:https://www.singsingrabbit.com/
Twitter:https://twitter.com/SingSingRabbit
Discord:https://discord.gg/singsingrabbit

この記事を書いた人

"音楽を中心に執筆中のライター。「あなたのため」に頑張ります。 twitter @nagasawatomonor Web http://vues.jp/"

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