これまでに、CD盤やMVの制作、未来のアニメ化へ向けてのクラウドファンディングなど、様々な活動を行ないながら、少しずつ現実化へ近づけている「神巫詞-KAMIUTA-」プロジェクト。
つい先日、最新MV「紡ぎ唄」ダイジェストが公開された。代々紡がれる伝統や命を題材に美しい旋律を奏でる、重厚で壮大な楽曲だ。原宿POPが衣装提供に協力しており、ボーカルの福山沙織とギターの大野天翔が「Ozz On Japan」の和風ゴシックな衣装を着用。ヴィジュアル面でもより世界観を深めた形で、美しい映像に仕上がっている。
今回はMVの収録現場である「三田高野山 弘法寺」に潜入。厳かで豪華な祭壇を前に祈るように撮影する、その模様をレポートにてお届けする。まずは、ダイジェスト映像を記事と合わせてご覧になっていただきたい。そして10月中旬に公開されるFull versionの映像を心待ちにしていただければと思う。
「神巫詞-KAMIUTA-」とは?
「神巫詞-KAMIUTA-」プロジェクトは、アニメ企画チーム「電電太鼓」が展開するオリジナルアニメーション企画。
人気ボカロ曲×男性声優の大人気【ACTORS】シリーズや、有名ボーカロイド楽曲を人気女性声優が歌う【半熟少女】シリーズなどの企画・原案を行なっているアニメ企画チームが、10年越しの想いを込めて手がける最新プロジェクトが「神巫詞-KAMIUTA-」。
高校生バンド×妖怪バトル×ライブ活動の裏側を描く、妖怪封印&青春ドラマチックストーリー!
クラウドファンディングを通じながら、アニメ化に向けてサポーターの方と一緒に作り上げていくプロジェクトとなっている。
実は、原宿POPも衣装提供にて企画応援中!
【あらすじ】
かつて古の神々が、世を混沌となす穢れを霊峰富士に封印し幾年月、神であるイオリは御啼(みなき)稲荷神社の神職の一族とともに長年封印の監視を務めてきた。時は経ち、封印の力が急激に弱まりだしたのを知ると、再封印のための方法を模索し始める。そして神社の宮司の娘・天乃遥歌(あまのはるか)が幼馴染の杵島裕也(きしまゆうや)とともにバンド活動に勤しんでいるのをみた彼は、その歌に穢れの再封印に使える力がある事に気付いた。イオリは人の姿となり、バンドを通じて遥歌たちに接触していく―
最新MV「紡ぎ唄」
「アニメ化」へ向け、着々と制作を進めている「神巫詞-KAMIUTA-」。アニメのヒロインは、神社の巫女であり、女子高生の天乃遥歌。彼女が作中で仲間たちと組んだバンドがSoul of Fox。
現在は、アニメーションの展開と並行しながら、Soul of Foxがリアルなバンドとしても活動を開始。Soul of Foxの音源(CD盤)やMV制作を中心に「神巫詞-KAMIUTA-」プロジェクトは進行中である。
バンドを楽しむ天乃遥歌の等身大な姿を映し出した『Callin’』、巫女姿のもと、異世界から現れた物の怪たちと一緒に参道を練り歩いた『天泣恋歌』と、これまでにSoul of Foxは「神巫詞-KAMIUTA-」の世界観と連なる曲をMVにしてきた。
今回、東京は三田にある「三田高野山 弘法寺」を舞台に、Soul of Foxの新曲「紡ぎ唄」のMVシューティングを行った。撮影には、Soul of Foxのメンバーから天乃遥歌役の福山沙織と、YU-YA役の大野天翔。ゲストプレイヤーとして、チェロのヌビア。さらに剣舞を舞う古武術天心流兵法代範まーこ先生を交え、行われた。
この日の衣装は、Soul of Fox及び「紡ぎ唄」のイメージに合わせ、ゴシック/スチームパンク系の洋服の多い「Ozz On Japan」がメンバーの衣装を提供。ヴィジュアル面でも、より世界観を深めていた。
収録現場に潜入!その様子をレポート!
「紡ぎ唄」のMVは、弘法寺堂内での撮影が中心。撮影は、まーこ先生が剣舞を披露する姿からスタート。その様をじっと見入る福山沙織。撮影後、「殺されます」とポツリ呟いた言葉は、まーこ先生の凛々しい姿に魅了されて出てきた想いと、本当に殺されそうな迫力も備わってのこと。美しく流れるような動きの中へ、相手を射抜く集中力を重ねてゆく様へ見惚れたように、映像を通しても絶対に視線が釘付けになるはずだ。
剣舞の撮影後、福山沙織はギターを刀に持ち替え、まーこ先生より、鞘から刀を抜き、ポーズを決めるまでの流れなどの指導も受けていたことも報告しておこう。
続いては、大野天翔・ヌビアによるソロシーンの撮影。先に、チェロのヌビアのソロシーンからスタート。
MVではありがちな当てぶりではなく、流れる楽曲に合わせ、毎回実際に演奏していたところにプロ意識を実感。みずから音のゆらぎの中へ身を投じるように。その動きにも緩急ダイナミズムを付け、ヌビアは音を鳴らしていた。MVが完成した暁には、生々しさと臨場感をぜひ味わってもらいたい。
続いては、アコギを手にした大野天翔のソロシーンへ。彼も実際にアコギを鳴らし、哀切な演奏に身を委ねていた。身体を大きく揺らすわけではないが、ある程度の揺れ幅の中で流れるような動きを魅せていたところが、静かなる闘士を燃やす大野天翔らしさ。ときに大きく、ときに小さくと、細かい動きのバリエーションも彼は見せていた。
ギターの大野天翔、チェロのヌビアを従え、フロントに「Ozz On Japan」のゴシックな衣装を身につけた福山沙織が登壇。祭壇を前に撮影したのにも、歌詞に重なる想いがあってのこと。
ゆったりとした雅な音色の上、胸に手を添え、沸きだす想いを福山沙織は身体で感じてゆく。今は逢えない大切な人へ祈りを捧げるように。視界の先へ大きく広がる空へ想いを響かせるよう、福山沙織はゆったり身体を揺らしながら歌っていた。彼女自身の泣き揺れる心模様が、両手の動きから伝わってきた。むせび、揺れる福山沙織の感情を、大野天翔のアコギとヌビアの重厚なチェロの音色が押し上げてゆく。込み上がる想いを心に溜め込みながら、それを福山沙織は少しずつ少しずつ空へ解き放つように歌っていた。
MVあるあるだが、カメラワークの関係から同じ曲を間髪入れずに撮影。短い空き時間の中、それまでの切々とした感情からは想像もつかない愛らしい表情で、福山沙織はメンバーたちと音楽話に興じていた。メンバーへいろいろ質問しながら、各々の個性を知り、よりチームワークを高めてゆく。これも、福山沙織が何時もさりげなく行なっているチームワークの作り方。
スタートの声を前に、思い出し笑いしながらも、ふたたび気持ちを変え、撮影に挑む福山沙織。哀愁呼ぶ和な旋律が流れると同時に、気持ちのモードをしっかり変えてゆくところは流石だ。
福山沙織の気持ちが揺れ動くたびに、両腕もゆらゆらと揺れる。全身を使い、映像の中へ想いを詰め込もうとしてゆく福山沙織。彼女の大きく揺らぐ感情を、さりげなく優しい音色で後押しする大野天翔とヌビア。感情が昂るごとに、福山沙織の身体の動きが大きくなる。気持ちの揺れに合わせ、彼女の仕種にもいろいろ変化が現れ出るように、その様をぜひ映像を通して観ていただきたい。「紡ぎ唄」は、祈りを捧げるという言葉がとても似合う歌だからこそ…。
準備中、頭上にあった監視カメラに手を振るなど、つねにON/OFFを巧みに切り換えてゆく福山沙織。「せっかく揺れると綺麗な衣装だから」と、ずっと身体を揺らし、光彩揺れる様を味わう姿も無邪気な彼女らしさ。
楽曲が流れるたびにバチッと気持ちを切り換え、馳せる想いを掻き集めては、優しくも哀切な歌が遠くまで届くようにと、福山沙織は身体をゆったり躍らせ、声を響かせていた。募る想いを抱き締めるように両腕で身体をキュッと包み込み歌う姿に視線が惹かれる。彼女の視線は、ここではない、遠くを見つめていた。けっして監視カメラではなく、もっとその先にいる大切な人へ伝えたい想いを響かせていた。最後の伸びのある歌声が、とても印象深い。もちろん、ここで歌った声が映像に記録されるわけではない。でも、そこで生まれた表情には確かに”気持ち”が乗っていた。
テイクも4回目を数える頃には、その動きに深みも出ていた。どのテイクのどのカットが使われるのかはわからない。でも、かならず歌に心浸した、活きた表情が映像には映し出されるはずだ。たとえ、愛しき想いに心濡らす表情の前には、笑顔ではしゃいでいた彼女がいたとしても…。
ギターの大野天翔とチェロのヌビアを中心にした撮影のときにも、一人自分の世界に入り込み、福山沙織は歌いあげていた。回数を重ねるごとに、歌に込めた想いの中へ、みずからが天乃遥歌となり気持ちを溶け込ませてゆく。その姿や想いは、傍で観ながらしっかり伝わってきた。
最後は、ビデオクルーたちがハンディカメラを手にメンバーたちへせまる形で撮影。ここで福山沙織は、紫の和傘を差していた。あえて最後に、イメージシーンに近い姿を見せながら、今までとは異なる心模様を提示。憂いを持った表情、その中から滲み出る優しさ。想いを馳せる人がとても大切で心を許せる存在だからこそ、彼女は慈しむ表情を見せていたのだろう。何処か笑顔を浮かべ歌っているように見えたのにも、きっと理由があったに違いない。
撮影はここで終了。この日の映像がどんな風に編集され、「紡ぎ唄」に込めた想いが、Soul of Foxの演奏を通し具現化してゆくのか。「紡ぎ唄」のMVが完成した折りには、ぜひ記事と合わせてご覧になっていただきたい。
着用衣装にも注目!
MV撮影時の着用衣装は、先に述べた通り、原宿POPが衣装提供に協力。
和洋折衷や大正浪漫風のアイテムを主に展開するブランド「Ozz On Japan」の和風ゴシックな衣装を、ボーカルの福山沙織とギターの大野天翔が着用している。
「神巫詞-KAMIUTA-」はその物語の設定上からも、和の要素をふんだんに取り入れた楽曲が多数。
柄・文様・色遣いなど「受け継がれてきた伝統美」を大切に、高い技巧を凝らしたアイテムを生み出している「Ozz On Japan」衣装とのコラボレーションで、「代々紡がれる伝統」を題材にしている「紡ぎ唄」の世界をより繊細に描き出していた。
福山沙織の衣装は、着物袖のオフショルダーワンピースフリルたっぷりのミニスカート、帯風のコルセット。
ゴシックな風合いを感じさせつつも、和風スタイルが得意な「Ozz On Japan」らしいコーディネイト。
黒基調に紫の差し色が美しく映えている。舞うようにひらひらと揺れる袖も幻想的だ。
その美しい姿、是非MVでも注目して見ていただきたい。
福山沙織は、衣装で紫を着るのが初めてで、とても新鮮だったとのこと。
また実は昔から原宿ファッションが好きで、憧れのファッションを衣装で着られて嬉しいと語っていた。
大野天翔の衣装は、全身黒で統一したマニッシュな和風コーディネイト。
透け感のある着物羽織には、大きく龍が描かれていて目を惹かれる。
片手にだけグローブをはめた姿も様になっている。
soul of foxにちなんだ狐面をつけて、静かに熱く音を奏でる大野天翔の姿にも注目してほしい。
参加メンバーにインタビュー!
最後に、参加メンバーたちによるミニ・インタビューもお届けしよう。
──福山さんが「紡ぎ唄」に込めた想いから聴かせてください。
福山沙織 今回の曲には、紡いでいく命、伝説、血筋といろんな想いを込めています。祖父が亡くなったときの想いを記した歌なのですが、自分の身体の中におじいちゃんも、その先の先祖もと、わたしの中には同じ血が続いています。そういう想いを込めて歌った楽曲なので、今回、MVの撮影をお寺で行えて良かったなと思っています。
──撮影中は祈るような様で歌っていましたよね。
福山沙織 でしたね。あと、単純に響きが気持ち良かったです。
ヌビア 歌声や流れる音が天(井)に反響してね。
福山沙織 それが、本当に気持ち良かったんです。
──歌っているときは楽曲の世界観へ浸りながら。でも、歌い終わるとメンバーとわちゃわちゃはしゃぎだす。そのギャップも嬉しい驚きでした。
大野天翔 コミカル過ぎるくらいにね(笑)。
福山沙織 「紡ぎ唄」の楽曲が流れ終わるたびに、毎回、心踊らせる不思議な音楽が流れてくるんです。たまたま再生用のトラックへ一緒に入っていた曲だと思うんですけど。それを聞いてると楽しくなってきちゃって。
──そこでみなさんが微笑み談笑してゆく姿が、このチームの結束力を作っている要因とも感じました。
ヌビア 音楽の一体感といいますか、今回の「紡ぎ唄」は優しい曲であり、祈るような歌でもあることから、とくに音楽隊のメンバーは三位一体というか、一つになったほうが良いなという想いから、こういう空気になったんだと思います。
大野天翔 場も、雰囲気も素晴らしいし、僕も曲に込めた想いを聞いて腑に落ちて、そこからスッと曲の世界観が中に入ってきました。想いが入るだけで、自分の動きも変わるように、改めて一番大切なのは「想い」だなとこの歌に気づかされましたね。
ヌビア この歌を体現したような感覚を感じながら、演奏も出来ましたしね。
福山沙織 そうなんです。最後には魂が降りてきて、おじいちゃんが見えてきた気がします。
──最後に、MV「紡ぎ唄」の見どころを教えてください。
まーこ先生 自分は、今日初めて現場に来て「紡ぎ唄」を聴き、曲と歌詞を知りました。そのうえで、一生懸命に刀を振らせていただきました。自分は、音楽はまったくできませんが、こういう形で関わることが出来てとても嬉しく思っています。
──撮影時の、あの気の張った様には強く惹かれました。
まーこ先生 一生懸命やらせていただきました。
ヌビア 撮影中は、どういう「気」の入れ方をしていたんですか?
まーこ先生 自分が受け継いでいる古武道は380年くらいの歴史があるので、それを紡げば、さらに後世へも紡いでいく気持ちで刀を振っていました。
ヌビア このMVを通し、一つ時代の変遷のようなものを、まーこ先生が形作ってくれたような気がします。
福山沙織 古武術も380年以上も続いている武術で、それを受け継がれているように、それも「紡ぎ唄」と重なることだなぁと思いました。
──続いてはヌビアさんお願いします。
ヌビア バンド演奏の中、チェロという楽器を見かけることはなかなか珍しいかなと思うんですけど。チェロって人間の声に一番近い楽器と言われているように、ヴォーカルと一つに重なっていくような、ヴォーカルの方の想いと共鳴して、もっともっと上に上がってゆくイメージを持てる楽器なんです。だから今回の撮影でも、福山さんの歌声が天に天に届くように演奏をしましたので、そういう風に感じていただけたら嬉しいく思います。
大野天翔 今回のMVで観て欲しいのが、メンバー全員の衣装姿なんです。今までにないスタイルであり、かつ、背景に負けてない。その迫力も音に合わせて感じ取ってもらえたら嬉しいです。
福山沙織 「紡ぎ唄」はすでにアルバム音源として発表していたので、先に楽曲に触れてくださっている方々もいると思うんですけど。今回のMVを通し、衣装や、こんな素敵な撮影場所など、すべてを融合した結果、もっとすごい曲に仕上がりそうなので。改めて「紡ぎ唄」の世界に触れていただけたらなと思います。
ヌビア 改めて音楽を聴くことで。もしくは、先に音源を聞いていると、完成したMVを観たときに新たな発見があるかも知れないですからね。
福山沙織 そこなんですよ。MVで観たいと思う人もいるだろうからこそ、音源とMVの両面から「紡ぎ唄」を楽しんでいただけたらなと思います。
大野天翔 音源とMVには、それぞれ異なる味わい方があるからこそね。
福山沙織 そうなの。甘口と辛口くらいに違うので。
ヌビア そこだったのか…。
福山沙織 わー、ごめーん(笑)!!
TEXT:長澤智典
「神巫詞-KAMIUTA-」
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