Mioが創り出すキュートな世界観とSally、GINAの奏でるヘヴィなフレーズが溶けあい新たに生まれた“CUTE METAL”を掲げて活動中のMellows。Mio自身は、以前から「かわいい」を追求してきた女性。一方、SallyとGINAは「格好いいロックな生き方」を貫き続けてきた。昨年11月には、ロリータ体験スタジオ「東京Kawaiiスタジオ原宿」に来店し、メンバー3人ともがロリータファッションで変身した姿をお披露目。そのレアな姿は別記事でチェックしてもらうとして、この記事では3人の中にある「かわいい」意識を、インタビューを通して紐解いた。
Mio
Cute Vocal
東京都出身 ex.PASSPO☆
自分が自分であるために可愛いを常に追求しているMellowsのキュートボーカル。
恩師は日本のスラッシュメタルバンド 「UNITED」 の亡き横山明裕氏。
デザインすることや絵を描くことが得意なため衣装やデザインなどを含む、 ビジュアル面も手がけている。
「可愛い」を軸に生きているが好きなものはゾンビ映画。
Sally
Guitar
東京都出身、A型。
学習院大学法学部法学科卒業。
幼少の頃よりジャパニーズメタルに親しみ、10代よりバンド活動を開始、作詞作曲も手掛けてきた。
練習熱心で明るくガッツある人柄には周りを惹きつけるパワーがある。
80年代歌謡や大映ドラマといった昭和文化をこよなく愛する意外な一面も。
現在はMellowsの活動の他、セッションライブやサポート、YouTubeへの動画投稿、ラジオ出演といったアーティスト活動の傍ら、音楽ライターとして文筆業もこなしている。
GINA
Guitar
小学校のころ、雑誌で見かけた初心者用楽器セットをみてドラムを始めようと思ったが、父に「ギターにしておきなさい」と言われギターを始める。 Mellowsのサウンドプロデューサー 久保正貴氏に師事。 Dean Guitars Japanオフィシャルアーティスト。
囁揺的音楽集団AsMRのGuitar&Roaring Sound、BabBubbleのギタリスト、
他ソロとしても活動中。
ラウドなバンドに影響を受け、迫力ある撃音から繊細なクリーン・トーンまで幅広いサウンドを操るギタリスト。
趣味は都市伝説と水族館・動物園巡り。夢は南極旅行と宇宙旅行。
クラスメイトのみんなは制服でしたけど、わたしはどうしてもゴシック&ロリータファッションで卒業式に出たくて、そうしました。
──Mioさん、ロリータ系ファッションは馴染み深い方ですよね。
Mio 小学生の卒業式にはゴシック&ロリータファッションで出たくらい、小さい頃から大好きでした。
2人 えっ?!?!?!
Mio クラスメイトのみんなは制服でしたけど、わたしはどうしてもゴシック&ロリータファッションで卒業式に出たくて、そうしました。わたし、小学生の頃からロリータ系のファッションが大好きでずーっと着ていました。最近は着る機会が減りましたけど、高校生頃まで私服はロリータ服でした。
──Mioさん自身は、いくつまでロリータ服を着れると思っていた人?
Mio 今も着れますし、おばあちゃんになっても、”ロリータおばあちゃん”としてずっと着ていたい気持ちを持っています。わたしの場合、ロリータ服を着なくなったのではなく、着れなくなった理由があったからなんです。
──それ、気になります。
Mio わたしが芸能のお仕事を始めたときも、ずっとロリータ系の服を着てお仕事現場に通っていました。でも、ロリータ系の服って電車の中など、移動中もけっこう目立つんですね。それで家バレしそうになったことから、あえて着なくなったという理由がありました。フリルやリボン系は永遠に大好きですし、今でも実家には、ロリータ服が着るのを待っています。
GINA わたし、自分から意識して着たことがないから、改めて今になって着れたことが逆に新鮮でした。
──以前にロリータ系ファッションを着ていた経験も?
GINA わたしが…ではなく、小さい頃に、よく親に着せられていました。わたし、すっかり忘れていたんですけど。この日の撮影のことを母親に話したら、「小っちゃい頃、よく着ていたもんね」と言われて思い出しました(笑)。確かに、フリフリのドレス系の服をよく着ていたし、その反動からズボン姿に憧れ、小学生の頃からはよくズボンを履くようになったのを思い出しました(笑)。
──Sallyさんはロック系のファッションという印象だから、ロリータ姿はだいぶ意外性があったんじゃないですか?
Sally わたし、10代の頃はロリータ系のファッションにすごく憧れがありました。ただ、ガチのロリータ系の服って10代の学生には。まして、うちの学校はアルバイト禁止だったから、欲しくても金額的に手が出なかったんです。だから、ロリータ系の雰囲気を味わいつつ、まだ手を伸ばせるLIZ LISAの服を着ていました。
Mio じつはMellowsを始めるとき、Sallyちゃんってずっとメタルの世界で生きてきた人だから、逆にロリータ服姿で弾いてもらうのも面白いかなと思い、一度提案したことがあるんですね。わたし、てっきり嫌がるものかと思ったら、「えっ、着たい!!」と、逆にのってきたのには驚いたけど(笑)。
GINA わたしも、その発言にはびっくりした。
Sally わたしがロリータ系のファッションを知ったのが、小学生のときに見た映画の「下妻物語」なんですね。あのときに「あっ、こういうファッションもあるんだ!!」と衝撃を受け、その頃から、「こういう格好をしたいな」と本気で思っていました。だから、今回の機会をいただけたのがすごく嬉しかったんです。
──昨年11月の変身体験の際には、Mioさんがお二人をコーディネイトしたそうですね。
Mio わたしも含め、それぞれの特色を活かしてコーディネイトしました。Mellowsや、メンバーそれぞれのXにも写真を投稿しているので、ぜひごらんになってください。また別途記事もアップされる予定なので楽しみにしていてください。
──Mellowsが標榜しているのが、”CUTE METAL”。ライブでロリータ系のファッションをするのもありじゃない?
Mio 今回、3人でロリータ系のファションをしてみて思ったのが、Mellowsならロリータ系やゴスロリファッションでライブをやってもじゃなく、その格好でやるのが似合うなということ。みんな絶対にかわいいし、ロリータやゴスロリ姿で頭をガンガンに振ってたら、それこそCUTE METALですよね。だから有りどころか、近々やってみようかなとも思いました。
GINA ただヘッドドレスが落ちないかが心配(笑)。
──Mellowsのライブでは、『Rabbit Love it!!-』を演奏するときに、頭にうさぎ耳のカチューシャをつけて歌い演奏していますよね。Sallyさん、以前から、そのカチューシャに抵抗があったじゃないですか。
Sally 抵抗がありましたね。「えっ、うさぎの耳をつけるの??なんだ、その発想は??」みたいに(笑)。
Mio ロリータ服は着たがるのに、うさ耳は何で嫌なの?
Sally わたし、食品サンプルとか好きなんですけど。それって、リアリティを求めているじゃないですか。だから、うさ耳もリアルに見えるものだったら好きになっていたのかもしれないけど、あれは完全にフェイクな耳ってわかるから、それで抵抗があるのかもしれない(笑)。
──GINAさんは…。
GINA ぜんぜん抵抗はないです。むしろ、頭につけてギターを弾くのが楽しい。ただ、頭を振って演奏をしていると落ちちゃうから、それが悲しい。
Sally あのうさ耳、演奏中にヘドバンしてると落ちちゃうからね。
またの名を、六本木出勤系ともいうらしいです(笑)。でも、露出系の服は、別に嫌ではないです。
──みなさん、ファッションへのこだわりは強い方々??
Sally Mioちゃんは、こだわりが強いと思う。とにかく、ハイセンス。わたしだったら、銀の靴とか勇気が出なくて履けないもん。
GINA わたしも、網網の靴下は履けない。
Sally それくらい、ハイセンスな方なので。
──GINAさん、今日(取材日)は露出多めのファッションですけど。いつもこういう感じなんですか?
GINA いえ、いつも機材を持って移動するからけっこう服も汚れやすいし、時には破けてしまうこともあるんですね。だから普段は、汚れても構わないズボン系が多いですけど。今の事務所に入ってから、同じ囁揺的音楽集団AsMRのメンバー(GINAは現在、Mellows/囁揺的音楽集団AsMR/BabBubbleを兼任)であるAyaka(太田彩華)ちゃんに、ひたすら「ギャル系の服が似合うよー」と言われるから、楽器を持たない日は、家に眠っていたギャル系の服を引き出しては着ています。
2人 (ギャル系の服を)持ってたんだ(笑)。
Mio 確かに露出系の服は、ギャル系っぽいよね。
GINA またの名を、六本木出勤系ともいうらしいです(笑)。でも、露出系の服は、別に嫌ではないです。
Sally わたしも最近は、ギャル系の格好が好きなんですよ。それこそ、黒髪だったちょっと前までは、Ma*RZのような、ヴィジュアル系バンドのライブに通っている若い子たちに多い、かわいらしいフリフリの格好をすることが多かったんですけど。髪の毛を明るくしてからは、ちょっと姉ギャル系を好むようにもなりだしました。
Mio 夏時期だったかな?スタジオのリハーサルへジャージと便サン(※便所サンダル)で来たときは、えっ、もしかしてそっち系の人??とも思ったけどね(笑)。
Sally 深夜2時のドンキ前の格好みたいな(笑)。けっしてヤンキー系じゃないから。わたしはスポーティーな格好をしていったつもりだったけど、なんかそうは見えなかったみたいで…。
Mio ギャル姉さんって感じでしたよ。
──Mioさんは、いろんな”かわいい”を突き詰めていません?
Mio そうですね。わたしは、そのときごとに「好き」が変わっていくから、その都度変化はしていくんですけど。でも、肩出しをしないとか、露出系の服は着ないという姿勢は一貫しているところ。わたしは原色やパステル系が好きだから、そういう色味の服をいろいろと着たいタイプです。
──Mioさんは、原宿の街自体に縁の深い方ですよね。
Mio はい。昔からよく買い物や遊びに来ていましたし、HARAJUKU POPさんでも何度もロリータ系のファッションをさせていただければ、ロリータ系のファッション雑誌にもモデルとして出演していたくらい、ロリータ系にも原宿という街にも縁はあります。
Sally わたしは、中高生の頃に買い物に来ていたくらいかなぁ。それこそロリータ系の服が欲しくて、そういうお店にも行くんですけど。10代の学生には手の出ない金額ということで、LIZ LISAの服などを買っていました。
GINA わたしは、2人がロリータファッションにはまっている世代の頃は、黒くて、薔薇や髑髏のアクセサリーをジャラジャラと付けたパンク系のファッションにはまっていたから、そっち系の服を求めて原宿に来ることはありましたね。
CUTE METALはこれまでのメタル界にはなかった新しいジャンルだから、海外のメタルファンたちの間でも興味を持っていただけているようです。
──Mellowsは現在、『Rabbit Love it!!-』『未完成』を配信リリースしています。
Sally 2曲とも、iTunesのチャートで上位にランクインしたように、着実に支持する方々が増えているのが嬉しいんです。
──CUTE METALは、確実に浸透しているわけですね。
GINA 徐々にですけど浸透し始めています。まだまだ一部とはいえ、海外の方からのリアクションも増えだしています。とくに海外のヘヴィメタルファンの間では、「CUTE METALとは一体どういうメタルなんだ?!」と話題になっているみたいです。
Sally これまでのメタル界にはなかった新しいジャンルだから、海外のメタルファンたちの間でも興味を持っていただけているようです。
GINA 1枚目の作品として『Rabbit Love it!』を出したときなんか、甘い歌声とピアノの音色から始まりながら、いきなり激しい2本のギターの音が炸裂するから、それでビックリした人たちもたくさんいたみたいで。そういった面で衝撃を与えつつ、それをきっかけに広がりだしたんだなと感じています。
──ライブでも、Mioさんがかわいく歌いだしたと思ったら、2人のギター陣が音を鳴らしたとたん、破壊力満載のすさまじい音が炸裂するから、初見の方々は本気で衝撃を受けていますからね。
GINA むしろ、2つの要素が融合しているところにはまっている人たちが多いんだと思います。Mioちゃんのかわいい声にはまり、楽器隊の激しい演奏にもハマる。どちらかが先であっても、そこの融合に刺激や楽しさを覚えて好きになる。2つの魅力を融合していることで、より間口を広げられているなという実感もあります。
Mio CUTE METALと言いながらも、普段はガールズロック系のバンドが出演するイベントを中心にMellowsは活動をしています。でも一度、メタル寄りのイベントに出たこともありました。そのときのお客さんたちの反応が目茶苦茶良かったんですね。「CUTE METALってこういう感じなんだ、また観に行くよ」と言ってくださる方々が多ければ、そこから実際にMellowsにハマッてくださった方々も多かったのを見て、Mellowsの音楽性自体がメタルとの親和性を強く持っているなと改めて実感できました。
Sally 「キュートさとメタルの要素がこういう風に融合するんだ」「融合した結果、こうなるんだ」と、とくにメタル界隈のお客さんたちが、すごく好意的に受け止めてくれているのが嬉しいですね。しかも、幅広い音楽層の方々に支持を得ているのも、ただ”かわいいと激しい演奏を融合”しているだけではなく、楽曲が、突然三拍子のかわいいリズムに変貌したりなど、ドラマチックな展開を描きだしている。そこへ惹かれている方々も多いと思います。
──Mellowsって、まだ結成をして間もないバンドですよね。短期間で支持を得ているのも、独創的であり、唯一無二の構成を発揮しているからなんでしょうね。
Sally 初ライブが昨年の6月だから、Mellowsは活動を始めてまだ半年ちょっとですけどね。
Mio まだハイハイもできてない、生まれたてのバンドです。
Sally 私たち自身が、CUTE METALを確立させようと、今もまだまだ試行錯誤を続けています。だから、その成長過程も含めて一緒に楽しんでほしいんです。私たち自身は、応援してくださる方々と一緒にCUTE METALを作り上げたいなと思っています。
「かわいい」は、わたしの人生の中心軸にあることです。
──みなさんにとって、Mellowsとはどんな存在なのでしょうか。
GINA わたしは今、3つのバンドでギターを弾いています。Mellowsで追求しているCUTE METAL。囁揺的音楽集団AsMRではダークな世界観を。BabBubbleではド直球なハードロックをと、それぞれが異なる色を持てば、それぞれのバンドで必要であり、活かせるスキルがある。わたしにとっては、それぞれのバンドが自分を磨く修行の場であり、突き詰めたスタイルを発表している場。その中でMellowsは、ひたすらゴリゴリとした激しさを追い求める、その技量を追求してゆく場になっています。
Sally わたしもMellowsは、ギタリストとしての修行の場になってる。わたし自身、これまでずっとヘヴィメタル/ハードロック音楽の王道を突き詰めてきたから、ギターのチューニングもレギュラーが中心。下げても半音程度でしたけど。Mellowsではダウンチューニングで演奏しています。それが学びの場にもなれば、「こういうギターも弾けるよ」というのを知らしめる場所にもMellowsはなってますね。
Mio 2人は、いろんなバンドで活動をしています。わたしも芸能の活動をしていますけど、音楽面ではMellowsだけに専念しています。Mellowsは、自分のアイデアを持って産み落としたバンド。だからこそ責任を持って育てあげたいし、自分の中でも音楽活動はMellows1本と決めているからこそ、音楽面では最優先して表現していく場になっています。
──Mioさんは、「かわいい」もずっと追求し続けている方ですよね。
Mio わたしは「かわいくないといけない」人。生まれたときからそうですし、アイドルとして活動をしていた時代も、そう。ずっと「かわいい」をコンセプトに活動をしてきたからこそ、Mellowsでも「激しい中も、かわいいロック」を追求しています。まさに「かわいい」は、わたしの人生の中心軸にあることです。
GINA わたし自身が出来ているか、出来てないかは置いといて。「かわいい」というのは、その人のやりたいことを詰め込んだ結果として出てくるものとわたしは思ってる。だから、それぞれ「かわいい」の感覚は違うんだけど。でも、「その人のやりたいことをギュッと詰め込んで伝えよう」としているからこそ、「かわいい」を体現している人たちがキラキラして見えてくるんだと思います。
Sally そうだね。本人が全力で「わたしが好きなことをやってるんだから」「それがかわいいんだから」とぶつかっていく姿が見えるからこそ、その人自身が「かわいい」存在としてキラキラしてゆく。Mioちゃんは、まさにそう。彼女を見ていると、それを強く感じるんですよね。それが何であろうと、振りきってやっている人は「かわいい」と思います。そこで、ちょっとでも恥ずかしがってしまったら、「かわいい」は成立しない。「自信を持ってやりたいことをやるのが、かわいいの定義」。だからわたしも、ロリータ姿を思いきり楽しみながらやりました。
──Mellowsは毎月いろいろとライブをやっているから…。
Mio ぜひ、ライブに遊びに来てください。そして、全力でCUTE METALを楽しみましょう。
TEXT:長澤智典
Mellows
Mioが創り出すキュートな世界観とSally、GINAの奏でるヘヴィなフレーズが溶けあい新たに生まれたサウンド“CUTE METAL”
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