6月30日に1stアルバム「Prologue」を発売する声優の富田美憂さん。9月26日には、LINE CUBE SHIBUYAを舞台にした1stワンマン公演「富田美憂 1st LIVE-Prologue-」も決定。今回は、アルバムの魅力についてじっくり語っていただきました。
「これが、富田美憂だ」と胸を張って言える作品が生まれました。
──1stアルバムの「Prologue」完成しました。まずは、今の素直な気持ちから聞かせてください。
富田美憂 ひと言でいうと、「これが、富田美憂だ」と胸を張って言える作品が生まれました。ほんと、作品という言い方がしっくりくるなぁと思うくらい、これ以上ないよというこだわりを持って作ることのできた1枚になりました。
──アルバムには多彩な曲調の楽曲が並べば、歌詞にも、いろんな心模様を持った女性が登場します。
富田美憂 わたしは役者を本業にしているように、それ(いろんな存在を演じること)が富田美憂という人間をつかさどる本質だとも思っています。今回のアルバムを作るにあたり、役者を生業にしながらアーティストもやるうえでの強みとは一体何だろう。そう考えたときに出てきたのが、「10通りの富田美憂を、10人の富田美憂をみなさんに届けられたらいいな」という思いでした。しかも1曲1曲聞くたびに、聞いてくださった方々が驚くようなギャップを示してゆくことも大事にしようと心がけながら、アルバムの制作を始めています。
──まさに10通り、10人の富田美憂が、アルバムには生きていますからね。
富田美憂 そうなんです。アルバム制作へ至るまでに、わたしは3枚のシングル作品を重ねながら音楽活動をしてきました。約1年半という期間の中、「もっとこういう曲調を歌えるんじゃないか」「もっと、こういう心情も表現してみたい」など、アーティストとしての表現欲求や可能性を自分自身でも見つけることができました。そこで見いだしたいろんな表情を、このアルバムに描きだしたいなと思ったし、実際に描きだせたなとわたし自身感じています。
──アルバム制作にも、じっくりと時間をかけてきたんですよね。
富田美憂 前シングルの「Broken Sky」を出してから数えても、半年以上はじっくりと。しかも1曲1曲確実に、着実に積み重ねながら、アルバムの完成まで辿り着きました。
「富田美憂だからこその魅力や有り方は」と考えたときに出てきたのが、「役者だからこそできる表現の強み」でした。
──ここからは、収録した曲たちについてお聞きしたいなと思います。気になったのが、MVも制作した「ジレンマ」と、バラードの「足跡」。2曲とも、作詞をNIYAさんが担当。この歌詞、「ジレンマ」「足跡」と続きの物語を成していますよね。
富田美憂 そうなんです。こういう挑戦ができたのもアルバムだからこそでした。と言っても、それを仕掛けてくださったのは、作詞を担当したNIYAさんご自身なんですけど…。
──美憂さんも、上がってきた楽曲を聞いて、その繋がりを発見したということですか?
富田美憂 そうです。「ジレンマ」は早い段階で録り終えていた楽曲で、「足跡」は、アルバム制作の終盤時期にレコーディングを行なった曲なんですけど。以前から「バラードも歌いたいです」というお話をしていたことから、それで「足跡」が生まれました。そのうえで、この楽曲の歌詞をNIYAさんにお願いをし、届いた「足跡」の歌詞を読んだら、「ジレンマ」のその後を綴った内容だったから、「NIYAさん、そう来たか…」と思わずニヤニヤしちゃいました。中には、2曲に共通する言葉や表現も書かれているように、どういう繋がりを持っているのかも探りながら聞いてください。
──アルバムの中でとくに気になったのが、「かりそめ」なんです。この楽曲では、男女それぞれの視点で想いをぶつけ合うように綴られた歌詞を、美憂さん自身が声の色を変えながら、掛け合うように一人で歌っています。あの構成や歌唱スタイルは、とても斬新でした。
富田美憂 主メロとコーラスの掛け合いはわたしも初めての挑戦だったように、「かりそめ」はまさに富田美憂の新境地を見いだした楽曲になりました。この曲を形にしたことで、「これも富田美憂の魅力や持ち味の一つなんだ」とみなさんに思っていただけたら嬉しいです。こういう表現は、デビュー当初のわたしには歌いこなせなかったと思うように、アーティスト富田美憂としての成長をみなさんにお見せすることのできた楽曲にもなりました。
──まさに役者だからこその持ち味を発揮した楽曲であり、これからも武器にしていける魅力ですからね。
富田美憂 まさしく、そんな感じですね。歌の上手いアーティストさんって世の中にたくさんいらっしゃる中、そこで「富田美憂だからこその魅力や有り方は」と考えたときに出てきたのが、やはり「役者だからこそできる表現の強み」だったんですよね。声優というお仕事をしているからこそ、1曲ごとに異なる表情を付けてゆくことができる。それを示したくて、最初に「10通りの富田美憂を出す」というコンセプトを打ち出したわけですし。その魅力をことさら発揮できた楽曲が「かりそめ」なんだと思います。
──美憂さん自身も、幅広い感情表現をしっかりと見せていきたかったわけですね。
富田美憂 どれも曲調の違う楽曲にした理由も、そこにあります。実際に「Present Moment」から聞き始め、最後の「Letter」を聞き終えたときには、一冊の分厚い本を読み終えたくらいの満足感を得れるような。それくらい、いろんなタイプの楽曲を詰め込もうと思っていましたし、実際に、聞き飽きることのない作品に仕上がったなと感じています。
──アルバムの中、1曲ごとに物語も、曲の表情もいろんな風に変化していきます。
富田美憂 曲順は、すごく考えました。わたし、「Prologue」というアルバムを通し、富田美憂という一人の人間としての今までの歩みや成長をまずは知っていただけたらなと思いました。昔から応援してくださっている方々には、「富田美憂、成長したな」と思ってもらえたらという気持ちも持って制作を始めています。だからこそアルバムの始まりに、わたしのアーティスト活動のスタートを切った楽曲の「Present Moment」を持ってきましたし、今までの経験があったからこそ作ることのできた、みずから作詞をした「Letter」でアルバムを閉じたわけなんです。実際に曲順も、最初に冒頭と最後を飾る楽曲を決め、そのうえで、どう起伏に富んだ物語を作ってゆくかを考えながら決めていきました。
──「ジレンマ」と「足跡」は並べなかったんですね。
富田美憂 そこは、あえて離しました。理由は、「足跡」という楽曲は、「ジレンマ」で抱えていたモヤッとした気持ちを「あんなこともあったねぇ」と笑って語り合えるくらいに、お互いに大人になったときの心情を記した歌だと思えたからです。だからこそ、あえて時間軸を置くうえでも離して収録をしています。
今、思っている感情を、そのまま素直に書こうと思ったし、そのほうが、聞いてくださる方々にも響くのかなと思って、そうしました。
──「片思いはじめました」に綴った、切ないけど、でも、恋にときめく淡い恋心にも胸がキュンと高鳴りました。
富田美憂 「片思いはじめました」は、現在進行形で片思いをしている学生の方々が聞いたら、とくに共感できる歌だと思います。もちろん、大人になってから聞いても、初恋を…といいますか、自分の青春時代を思い返せる歌になったように、この歌を聞きながら、自分の中にある甘酸っぱい記憶を思い出してもらえたらなぁと思います。
──1曲1曲の物語に登場する女性たちは、美憂さんの気持ちにも重なるといいますか、ご自身にも近い存在なのでしょうか?
富田美憂 キャラクターソングを歌う場合、「このキャラクターなら、どういう表現をするかな」とすごく考えて歌うんですけど。富田美憂として歌う場では、わたしの意識や気持ちを汲み取って楽曲たちを作っているように、いろんな作家さんが捉える富田美憂など、極力、素顔の富田美憂に近い歌たちを選んでいます。だからこそ、自分の名前を背負って歌えるんだと思います。
──「Run Alone!」はとても前向きな、曲調面でも疾走感や躍動感を持った楽曲。聞いてて、気持ちがアガりました。
富田美憂 何かへ夢中になっているときって、良い意味でまわりが見えなくなることがあると思います。「Run Alone!」は、そのときの気持ちを忠実に書いてくださった楽曲のように、わたし自身も、歌いながら共感してゆく歌詞がたくさんありました。「Run Alone!」は、夢を追いかけている人なら誰もが持っている気持ち。この歌はきっと、自分の感情と重ね合わせ、気持ちをアゲながら聞いてもらえると思います。
──「Some day, Sumer day」も、これからの季節にぴったりの楽曲じゃないですか?
富田美憂 この曲のイメージは、「夏フェス」です。自分のイメージにはなりますけど、夏の野外フェスで聞いたら、しっくりくる印象を覚えています。わたしはいつも、その曲を聞いてくださる人たちの表情を思い描きながら歌入れをしています。アルバムを作るときにも、「ライブでお客さんたちと一体になって盛り上がれる曲も歌いたいです」と話していたように、それを具現化してくださった曲の一つが「Some day, Sumer day」だとわたしは捉えています。サビには、みんなでタオルを振りながら盛り上がってゆく景色が浮かぶような躍動感も出ていますし、実際にそういう風景を思い浮かべながら歌いました。
──楽曲を制作するうえで、最初からライブを意識することもあるのでしょうか?
富田美憂 ライブで歌っている姿を思い浮かべながらレコーディングをすることは、よくあります。これはキャラクターを演じるときも、楽曲を歌うときも同じですけど、想像力はとても大事なこと。わたしが好きな歌い手は、歌詞の情景を心に浮かび上がらせるように歌う方。わたしも「歌う以上は、そういう表現のできる歌い手になりたい」と思っているように、ライブをしているときの姿もそうだし、その歌詞に綴られた思いや世界観、情景が、聞いている方の頭の中へパッと思い浮かぶようにと心がけながら、いつも歌っています。
──「Letter」は、みずから作詞を担いました。今の自分の気持ちも、しっかり歌詞に刻んでおきたかったのでしょうか?
富田美憂 ゆくゆくは作詞をしてみたいと以前から思っていましたけど、まさか1stアルバムで作詞にトライさせていただけるとは思ってもいなかったので、嬉しい驚きでした。作詞をするなら、いつもお世話になっている方や、両親、自分が今まで出会ってきたキャラクターたち、そしてファンのみなさんへの「ありがとう」の気持ちを歌にしようというのは以前から決めていたことでした。
──「Letter」の歌詞からは、美憂さんの素直な心模様が伝わってきました。
富田美憂 作詞をするにあたり、「わたしが作詞をする意味って何かなぁ」と思ったときに出てきたのが、ストレートに気持ちを書くこと。そのほうが、聞いてくださる方々にとっても嬉しいことじゃないかとも思いました。仕事柄、表舞台に立ってしゃべることもありますけど。普段、わたしが考えていることや内に秘めてる想いを伝える機会って、なかなかないんですね。そこへすごくもどかしさを覚えていたこともあって、今、想っている感情をそのまま素直に書こうと思ったし、そのほうが、聞いてくださる方々にも響くのかなと思って、そうしました。
──まさに、美憂さんからの手紙を受け止めた気持ちになれました。今後も作詞は…。
富田美憂 自分の気持ちを、自分の歌声を通してアウトプットしてゆくのはとても素敵なこと。今後も、機会があったら作詞は続けていきたいです。でも同時に、作家さんがわたしのためを思って作ってくださる楽曲や書いてくれた歌詞って、わたしにとっては宝物のようなもの。だからこそ、その両方のバランスを取りながら表現していきたい気持ちも持っています。
これまでに出会ってきた方の一人でも欠けたら、今のわたしにはなっていないと思います。
──完成した、1stアルバムの「Prologue」。今の美憂さんにとって、どんな1枚になりましたか?
富田美憂 今までのわたしの人生が詰まったアルバムだと思っています。「Letter」の歌詞にも込めましたけど、今の富田美憂という人間を形作るうえで、これまでに出会ってきた方の一人でも欠けたら、今のわたしにはなっていないと思っています。わたしは、これまでに出会ってきた人たちのおかげで、今、この場に立てています。それらすべての想いや歩みを詰め込んだのが、1stアルバムの「Prologue」になります。
──その意識は、普段の仕事にも言えることですよね。
富田美憂 そうですね。わたしは小さい頃から、両親に「ありがとう」という言葉と、謙虚でいることは絶対に忘れるなと口酸っぱく言われ育ってきましたし、両親の教えは、自分が生きてゆくうえでの基盤としてずっとあり続けています。でも、本当にその言葉通りで、ちょっとでも「自分すごいな」と思ってしまったら、たぶん、わたしはそこで終わってしまうと思います。それに、上を見たらすごい人たちがたくさんいるように、上を見れば見るほど、自分はまだまだとても低いところにいるんだなぁと思うし、だからこそ「成長していきたい」と気持ちを奮起しています。もちろん、自分に自信を持つことは大事です。それと、自分が傲慢になってしまうのはまったく異なるように、けっして勘違いしないようにといつも心がけています。
──9月26日には、LINE CUBE SHIBUYAを舞台に「富田美憂 1st LIVE -Prologue-」も決定しました。
富田美憂 これまでにもいろんなイベントへ出演してきたように、人前に立つ経験は数多くしてきましたけど。どれも、アニメという作品を背負ってや、他の方が主役となるイベントへの出演という形でした。でも今回は、みなさん富田美憂を観に来てくださるわけじゃないですか。しかも、訪れた人たちの一生の想い出として残る数時間にしなきゃともすごく考えています。だからこそ、早い段階から曲順や、わたしのやりたい演出なども提案しながら、ライブ制作の方々と一緒に作り始めています。
──富田美憂という自分の看板を背負うとなると、プレッシャーも相当なものになるのでしょうか?
富田美憂 その気持ちも正直あります。わたし自身、ワンマンライブの経験は今までありませんけど。でも、ライブを観に来てくれた人たちに、「わたしは、僕は、富田美憂を応援していますと胸を張って応援していける」と思ってもらえる人でありたいんです。そのためには何が必要かといつも考えながらワンマン公演の準備をしているように、そこは楽しみにしていてください。一つ言えるのは、ライブは一人で作るものではなく、お客さんがいてこそ生まれるもの。だからこそ、感謝の気持ちを忘れずにライブへ向かっていきますし、そういうライブを作り上げたいなと思っています。
衣装を身につけると、アーティスト富田美憂になれるんですね。
──美憂さんのファッション面でのこだわりも聞かせてください。
富田美憂 服の選び方も、お仕事のスタンスと似ているんですけど。わたしは何事も、自分が好きなことを貫いていきたい性格。自分が好きな服を着ているときや、自分の好きなお仕事をしているときが、生きてて一番楽しい時間だとわたしは思っています。もちろん、周りに影響を受けることも時には大事だと思いますけど、わたしは「これが好きだから、これを着る」「こういうのが好きだから、この曲を歌っている」という軸は、ぶらすことなく持っていたいなと思っています。たとえ「美憂ちゃんはこういう服が似合うのに」「ロングヘアーのほうが似合うと思う」という言葉があったとしても、わたしは今のヘアスタイルやプライベートでのファッションスタイルが好きでやっているからこそ、そこは自信を持って発信していきたいです。
──美憂さんの場合、プライベートで着ている服と、作品で見せる衣装とは異なりますよね。やはりそこは、衣装として楽しんでいる感覚なのでしょうか?
富田美憂 そうです。その作品に合った衣装を着せていただけるのも、アーティスト活動をしていくうえですごく楽しいこと。それに、衣装を身につけると、アーティスト富田美憂になれるんですね。衣装って、そういう力を与えてくれるものだからこそ、わたしはそこを楽しんでいます。それに、いろんな服を着れるのって、こういうお仕事をしているからこそ味わえること。なので、わたしはそこも目一杯楽しんでいます。わたしも、毎回新しい衣装を着るたびに嬉しい驚きを覚えているように、みなさんもぜひ、そこも一緒に楽しんでください。
TEXT:長澤智典
1st ALBUM『Prologue』
富田美憂初となるフルアルバム発売が決定!!
アルバムのタイトルは、富田美憂自身が名付けた『Prologue』。
「序章」、「物語の始まり」、といった1stアルバムにふさわしいメッセージが込められています。
アルバムにはこれまでリリースしてきた3枚のシングルの表題曲に加え、自身が作詞を手掛けた「Letter」を含む7曲の新曲を収録。
2021/6/30発売
富田美憂 1stアルバム『Prologue』
<配信リンク>
https://lnk.to/Prologue
【初回限定盤】
CD+Blu-ray
COZX-1771-2
¥4,400 (税抜価格 ¥4,000)
【通常盤】
CD
COCX-41464
¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)
<CD収録内容>
1.Present Moment
2.ジレンマ
3.Run Alone!
4.片思いはじめました
5.翼と告白
6.Some day, Summer day
7.Broken Sky
8.かりそめ
9.足跡
10.Letter
<Blu-ray収録内容>
・「ジレンマ」ミュージックビデオ+メイキング
・「Present Moment」ミュージックビデオ
・「翼と告白」ミュージックビデオ
・「Broken Sky」ミュージックビデオ
富田美憂 1st LIVE -Prologue-
2021/09/26(日)
LINE CUBE SHIBUYA
開場16:30 / 開演17:30
富田美憂 オフィシャルファンクラブ「+ you(プラスユー)」(6/30(水)グランドオープン予定)にてチケット最速先行決定!!
ファンクラブ先行受付期間:2021/6/21(月)12:00~6/30(水)23:59
富田美憂 オフィシャルファンクラブ「+ you(プラスユー)」のご入会は下記にて受付中。
★富田美憂 オフィシャルファンクラブ「+ you(プラスユー)」はこちら>>>
※その他、ライブの詳細は追って発表します。
富田美憂(とみた みゆ)
11月15日生まれ。アミューズ所属。
代表作(一部抜粋):
「アイカツスターズ!」(虹野ゆめ役)
「ガヴリールドロップアウト」(ガヴリール役)
「となりの吸血鬼さん」(ソフィー・トワイライト役)
「メイドインアビス」(リコ役)
「ぼくたちは勉強ができない」(緒方理珠役)
「かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~」(伊井野ミコ役)
「戦闘員、派遣します!」(キサラギ・アリス役)
「バトルアスリーテス大運動会ReSTART!」(シェリイ・ウォン役)
「アイドルマスター シンデレラガールズ」(砂塚あきら役)
富田美憂 日本コロムビア公式HP
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