島谷ひとみが立ち上げた「うれしいことを探そう!プロジェクト」とは…。

2020年06月18日 | インタビュー
長澤智典
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 約2ヶ月に及ぶ#STAYHOME期間を経て、ようやく日常が取り戻されつつある。だが、今も全国各地の病院では、大勢の医療従事者たちが”日常を取り戻すため”に奮闘し続けている。
自粛期間を自宅で過ごしていた島谷ひとみも、当たり前の生活を取り戻すため、休日返上で日夜戦い続けている医療従事者たちの姿に感銘を受け、少しでもエールを送りたい気持ちをずっと持ち続けていた。でも、当時は自宅から出るのは難しい環境…。そこで彼女が取った行動が、「今、この場所(STAY HOME)から、歌声を通して想いを届けよう」ということだった。

それまで、すべての仕事がキャンセルになり、みずからの音楽活動の術も失っていた島谷ひとみだったが、「どんな形であろうと、歌声さえ届けば、その音楽は人々の心の力になる」想いから、一つのプロジェクトを立ち上げた。それが「うれしいことを探そう!プロジェクト」になる。
彼女は、医療従事者はもちろん、心に閉塞感を覚えている人たちのもとに歌を届け、少しでも「うれしいな」と前を向く力になれればとの想いから、自分自身が歌うたびに「小さな喜びや幸せを覚え」てきた「うれしいこと」を選曲。彼女の音楽仲間たちに「それぞれの自宅から、一緒にこの歌を届けませんか」とリモート録音を呼びかけた。その想いに島谷ひとみを含めた20人の表現者たちが賛同。それが、以下のメンバーたちだった。

島谷ひとみ、m.c.A・T(Vo)、伊丹谷良介(Vo)、井出泰彰(Pf)、HIPPY(Vo)、今井マサキ(cho)、芋洗坂係長(dance)、菊地圭介 (Key)、睦 (cho)、秋元直也(Gt)、梶原健生(Gt)、佐原陽(Gt)、天野恵(Vn)、林綾子 (Ob)、稲田一朗 (Dr)、小林香織(Dr)、YoYo the “Pianoman” (SOFFet) (Pf)、JB (Dr)、浜崎 賢太(Bs)、Qurata (Bs)。

今回のプロジェクトの経緯について、島谷ひとみが言葉を寄せてくれたので紹介したい。

私たちの信じている歌の力で、現場で頑張っている医療従事者の方々はもちろん。自宅待機などで心が疲弊している人たちに何かしらのエールを送りたい。

──今回、「うれしいことを探そう!プロジェクト」を始めようとしたきっかけから、まずは教えていただけますか。

島谷 今回の新型コロナウィルスの影響でわたしたちアーティスト自身も予定していた案件が次々とキャンセルになり、お仕事が一度ゼロの状態に陥りました。その間、みなさんと同じようにわたしたちも自粛期間ということから、自宅での日々を過ごしてきました。その時間や期間を利用し、普段後回しにしていたことを片づければ、やってみたかったことを実践するなど、休みを利用しながら充実した面も多少なりとも感じることは出来ていましたけど。それ以上に、この時期に「一体、わたしたちには何が出来るのか」を何時も以上に考える毎日を過ごしてきました。
わたしは、今年デビュー21年目に入りました。長くアーティストや芸能活動を続けてきた中、これまでに何度も天災などの災害を経験すれば、その都度、「何が出来るのか」を考え、行動にも移してきました。だからこそ今回も、「今、わたしたちが立ち上がって出来ることは何かないのか」を考えれば、音楽仲間たちとも話しあってきました。そこで、かならず出てきたのが、「どんな状況下にあろうと、人の心から音楽がなくなることは絶対にないよね」という言葉でした。
当時のわたしにしてみれば、予定していたコンサートツアーや出演するイベントを失い、人前で歌えない状況にいました。それどころか、外に出ることさえままならぬ環境に置かれていました。それでも、自分が声さえ出せば歌を響かせることは出来る。そう思えたことや、まさにリモートでみんなが繋がり出していた環境もあったことから、わたしがみんなへ提案したのが、「私たち自身、これまで音楽に助けられてきたように、その音楽で、みんなの心に希望や力を届けられないか」ということでした。その当時は、医療従事者の方々が病院などの医療現場で、昼夜問わず、休みも返上して見えないウイルスと戦い続けていた日々でした。もちろん今も、そこに変わりはありません。ならば、「私たちの信じている歌の力で、現場で頑張っている医療従事者の方々はもちろん。自宅待機などで心が疲弊している人たちに何かしらのエールを送りたい」。その想いから、今回の「うれしいことを探そう!プロジェクト」を立ち上げました。

──そこで選んだ楽曲が、島谷さんがアニメ「はなかっぱ」のエンディングテーマとして歌っていた「うれしいこと」でした。この曲を選んだ理由も聴かせてください。

島谷 歌を通してエールを送るうえでも、たとえば「ジーンとくる歌」や「とてもテンションのあがる歌」など、そこにはいろんな楽曲があると思います。じつは、わたし自身が「うれしいこと」という楽曲に出会ったときに感じていたのが、「喜びや感謝する気持ちって、自分で感じて噛みしめていなければスッと通り抜けてしまうもの」という想いでした。日常にある何気ないささやかなことに喜びや光を見つけるだけでも、人はその喜びに心を支えられてゆくし、心の力にもなっていく。それをこの歌で教えられたことから、今回「うれしいこと」を選びました。

 
──この楽曲には、島谷さんも含め20名の方々が参加。とても豪華なメンバーたちが集まりました。

島谷 一緒に音楽を形作っているミュージャン方は、もちろん。面識はあったけど、まだご一緒した経験がなかった方。仲間伝いで繋がり参加してくださった方など、わたしの想いにたくさんの方が賛同してくださり、思った以上に参加の和が広がりました。
嬉しかったのが、今回はリモートレコーディングというスタイルを取ったことから、普段は海外で活動をしている方や、地方に在住しながら音楽活動を行っている方々もレコーディングに参加していただけたことなんです。みなさんと気持ちを一つにしながらレコーディングをした経験はわたし自身とても嬉しい経験になりましたし、今回をきっかけに、新しい音楽の作り方や届け方も知れたなという素敵な発見にもなりました。

──MV化した映像を観ていても、その楽しさはしっかり伝わってきました。

島谷 だとしたら嬉しいです。観てくださる方々にも、アーティストの方々って普段はああいう環境の中で制作をしていれば、日々を過ごしてもいるんだという姿が伝われば嬉しいですし、プライベートな一面までも垣間見れたら、それも嬉しい発見に繋がるのかなとわたしも感じました。
今回の映像の中、芋洗坂係長がダンスで参加してくださったんですけど。誰もが覚えやすい振り付けをしてくださったことも、このMVをより身近なものにしてくださったなと嬉しく思っています。

──芋洗坂係長がダンスで参加したことで、より楽曲を身近に感じれたのは、僕らも嬉しかったことでした。

 
島谷 今回、参加してくださるメンバーに声をかけてゆく中、「誰か振り付けもしてくださる方がいたらいいよね」という話をしていたんですけど。そこで候補の上がった方が芋洗坂係長でした。わたし、直接面識はなかったんですけど。そのお名前が出たときから「ぜひ、お願いしたい」気持ちが強くなり、駄目元で直談判をしたところ、快く参加の返事をいただきました。しかも芋洗坂係長は、誰もが真似しやすく一緒に踊れる振りのみならず、そこへ手話も組み込み、より想いを届ける範囲を広げてくださいました。あの振り付けを最初に目にしたとき、わたしやチームのみんなは嬉しさのあまり、涙を浮かべていましたからね。加えて、あの優しい姿が、わたしに「はなかっぱ」に出てくる主人公にも重なって見えていたことも、お伝えしておきます。

音楽を届け、音楽で心の恩返しをしてゆく活動として、このプロジェクトは続けていきます。

──島谷さんも、自粛期間中はいろいろ大変なことが多かったんじゃないですか。

島谷 先にも伝えたように、一時期お仕事はゼロになりましたけど。でも、自宅からでも歌は届けられるじゃないですか。わたし自身が主導となって「うれしいことを探そう!プロジェクト」は始めましたけど。他にも、同じよう歌を通してエールを送るプロジェクトにわたしもリモートスタイルで参加をし、歌わせていただいきました。
この自粛期間中に感じていたのが、「気持ちさえあれば、何処にいたって歌を届けられる」「一人では叶えることが難しくとも、いろんな人たちの力が重なればすごいパワーを発揮していくし、それで叶えられることもある」ということでした。まさに、改めて「人の力」の素晴らしさを感じれば、音楽を伝えてゆくうえでの新しいやり方も、いろいろ発見いできた時期になりましたね。

──自粛期間中、島谷さん自身も新しいライブの届け方を実践していましたよね。

島谷 そうなんです。「TAKE OUT STUDIO LIVE」という形のもと、わたし一人がスタジオに入り、そこで演奏に合わせライブを行いました。その姿を録画し、その様を一人一人に配信する形で、みなさんにも自宅でわたしのライブを楽しんでいただこうということから行いました。やってみたら、このスタイルを喜んでくださる方々も多かったように、嬉しい手応えになったことでしたね。

──島谷さんは、7月から徐々にライブ活動も再開するという話も耳にしました。

島谷 そうなんです。万全なコロナ対策を施し、届ける側も最小人数に絞った形を取りながらと、いわゆるソーシャルディスタンスに沿った形でのライブを行おうと準備を進めています。まずは、未来に向けて新しいやり方で進んでいかなきゃいけない。もちろん、やったうえで生まれた課題があれば、その都度解決しながら進めつつ、ベストな形を模索していこうと思っています。まずは、そういう形を取りながら、私たちは「音楽が存在する場や形」を作っていこうと動いています。

──今回の「うれしいことを探そう!プロジェクト」も、継続して進めていくんですよね。

島谷 発信する形はどうなるかはわかりませんが、このプロジェクトは継続させます。どんな形であろうと、どんな状況下であれ、音楽を届け、音楽で心の恩返しをしてゆく活動として、このプロジェクトは続けていきます。その最初の一歩目が、今回の行動だったと捉えていただけたらなと思います。

──ところで、「うれしいことを探そう!プロジェクト」のMVの反響はどうでした?

島谷 「観てて涙が出た」「いろんなロスな気持ちから開放された」「頑張る気持ちをもらえた」など、いろんな嬉しい声が私たちの元には届いています。むしろ、その言葉に私たち自身が救われていれば、本当に感謝の気持ちでいます。

──その声が、ふたたび島谷さんやチームの方々の、未来へ向かう力や糧となるんでしょうね。

島谷 そうなるのは間違いないです。これからもぜひ、一緒にいろんなアイデアを形にしながら,、音楽を通した光をみなさんの心に降り注ぎたいなと思っています。ぜひ、一緒に喜びを見つけましょう!!

TEXT:長澤智典

インフォメーション★

「うれしいこと」MV

島谷ひとみ Web
https://shimatani.tokyo/
島谷ひとみ twitter
https://twitter.com/Shimatani_Staff

「うれしいことを探そう!プロジェクト」とは

有名アーティストでつなぐ希望と感謝のメロディー♪
医療従事者の皆さん!本当にありがとう!
みんなで頑張ろう!をテーマに有志で集まった素敵なアーティスト達♫

島谷ひとみの呼びかけで集まった「音楽な人たち」が、医療従事者の皆さんへの感謝の気持ち、このウイルスで苦しんでいる方々、新型コロナウイルスの影響で平穏な日常が過ごせなくなった方々に向けて「うれしいことを探そうプロジェクト」を発足させた。

日常の小さな「うれしいこと」を探すことで前向きになれる気がする。
そんな些細なことが明日への勇気に変わる。
みんなでこの厳しい状況を守り切ろう!

■使用楽曲 「うれしいこと / 島谷ひとみ」
「うれしいこと」は、島谷ひとみのシングル。2012年3月28日に配信限定でリリースされた。この曲は、NHK教育テレビの子供向けアニメ『はなかっぱ』のエンディングテーマを引き受けた島谷が、同い年のシンガーソングライター星村麻衣に作詞・作曲・ピアノ演奏を依頼して制作し、2011年3月から放送で使用された。島谷はこの曲を「とてもとても、優しい気持ちになれる素敵な曲」と紹介している。

■プロジェクト参加アーティスト
島谷ひとみ、m.c.A・T(Vo)、伊丹谷良介(Vo)、井出泰彰(Pf)、HIPPY(Vo)、今井マサキ(cho)、芋洗坂係長(dance)、菊地圭介 (Key)、睦 (cho)、秋元直也(Gt)、梶原健生(Gt)、佐原陽(Gt)、天野恵(Vn)、林綾子 (Ob)、稲田一朗 (Dr)、小林香織(Dr)、YoYo the “Pianoman” (SOFFet) (Pf)、JB (Dr)、浜崎 賢太(Bs)、Qurata (Bs)。

@うれしいことを探そうプロジェクト実行委員会

この記事を書いた人

長澤智典
音楽を中心に執筆中のライター。「あなたのため」に頑張ります。 twitter @nagasawatomonor Web http://vues.jp/

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