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恋愛作家、エッセイストとして活躍しているyuzukaさん。著書はこれまで３冊あり、妊娠、出産後初の作品となる『埋まらないよ、そんな男じゃ。』（逆旅出版）を４冊目として出版した。自身の環境が大きく変わっていく中で書いた作品にはどのような想いを込めたのか、yuzukaさんに単独インタビューでじっくり話を聞いた。

――　４冊目の出版、おめでとうございます。３冊目の出版は2021年でしたね。この２年の間でyuzukaさん自身も妊娠や出産を経験し、今までとは全く違う環境や心情だったのではないかと想像しています。

yuzuka　昔は悩んでいるファンの人に対して共感して「ずっと寄り添うよ」「分かるよ」と言って味方のような立場で文章を書いて発信していました。でも本作は、「手放した方が良いよ」という厳しめの言葉を使って書いています。その理由は、ファンの人たちも私と一緒に年齢が上がってきていて、具体的に行動に移したり、けじめをつけたりしないといけない年齢になってきているから。２〜３年前は悩んでいる人たちに「大丈夫だよ」って言い続けてきたけど、それは彼女たちの為にならないと思ったんです。私が敵になっても良いからメッセージをちゃんと届けたくて書いたのが本作です。

――　確かにこれまで出版された３冊と比べると、タイトルからして今までとは違う新しい切り口だなと思いました。

yuzuka　表紙のイラストをぬごさん（ @nugochan ）が描いてくれたのですが、どうしようもない男の人がきっかけで辛い表情になっている女の子に見えたんです。この女の子に私が声をかけるとしたらこの言葉だなって思ってタイトルが決まりました。

―― まさに妊娠、出産中に執筆をされたと思いますが、どのくらいで書き上げたのでしょうか？　

yuzuka　出版は約１年前に声をかけてもらって、数ヶ月くらいで書けました。今までの本は執筆に２年かけたものもあったし、書けない時期もあったんです。でも今回は、子どもが予定よりも２週間くらい早く産まれたので物理的に書けないときもあったけど、書くのが止まることはなかったですね。

―― 本文の中には「手放す」「捨てる」といったフレーズも多く見受けられました。このテーマで書こうと思ったタイミングはいつでしたか？　

yuzuka　実は本はもうあまり出したくないと思っていたんです。出版社が求めるyuzuka像で書くのは難しいと思っていたので……。ファンの人が離れていったらどうしようって心配だったけど、離れても仕方ないから今の自分が思っていることをダイレクトに書いて、はっきりとアドバイスを入れて、読者の方々の人生が良くなるなら書きたいと思ったんです。なので出版のお話をいただいたときに“手放す”をテーマに書きたいと編集者さんに伝えました。編集者の女性が私と同い年で、以前から私の本を読んでくれていたんです。執筆中は彼女に相談もして、イチ読者としての意見をぶつけてくれました。

――　私もyuzukaさんと同い年ですが、20代後半くらいから何を手放すかが重要になってきますよね。

yuzuka　はい。20代後半くらいから、人生っていかに手放すかだなって感じています。手放してシンプルにした方が生きやすい。例えばメイクやファッションも欲張りになりがちで、メイクだったらプチプラコスメを買いまくって色んなメイクを試したりしたけど、自分が本当に似合うものだけにした方が洗練されたりする。だから人生も手放せるものは削ぎ落として、シンプルに、質を良くすることが大切だと思っています。執着や依存で「この人がいないとダメ」ってすがりついていても、手放すと意外と平気だったりする。スペースを空けて余裕を持って生きているときに素敵な出会いがあったりするんですよね。

――　出版をした後、読者の方やSNSのフォロワーさんからの反応はいかがですか？

yuzuka　今まではファンの人たちが買ってくれていたけど、今はXの投稿がバズるたびに「バズってるから買ってみようかな」って本を手に取ってくれている人が多い印象です。ファンの人も一緒に年齢が上がってきているので１冊目は10代の人が多かったですが、今は20代半ば〜後半の人や、意外と男性も多いですね。主にオンラインで売れているので、Amazonのレビューもぜひお願いします！

――　読者の方に向けてのメッセージや、今後yuzukaさんがやっていきたいことはありますか？　

yuzuka　この本のテーマでもありますが、手放した先に手に入るものがあったり、気持ちが楽になったりします。悩んでいる人って優しい人が多いんですよね。“この関係をどうやって続けていこう？”と悩むのではなく、どこかのタイミングで諦めることも必要。それは逃げることではなく、自分のために前を向くことだと思います。

今後は、コロナも落ち着いたのでイベントをやっていきたいですね。読者の方々と直接お会いして本の感想も聞かせてもらいたいです。

あと、日刊SPA!でトー横キッズたちの素顔を取材する連載記事を書いているので、取材する側にも力を入れて活動していきたいですね。

埋まらないよ、そんな男じゃ。

過去のトラウマ、終わらない同棲生活、若さへの未練。そんな苦しみと折り合いをつけつつも、大人になった「女の子達」へ贈る、心をふわっと軽くする言葉の処方箋。結婚・妊娠・出産を経た著者yuzukaの最新作。
「このくだらない世界をできるだけマシに生き抜くためには、不必要なものを正しく終わらせなくてはならないから」幸せを掴むための終わらせ方を詰め込んだ、新感覚の恋愛エッセイ。

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yuzuka

エッセイスト。元精神科の看護師で元風俗嬢。息子と大型犬を育て中。本書いたりエッセイ書いたり取材してルポ書いたり牛舎で密着取材したり。最新刊は「埋まらないよ、そんな男じゃ。」（逆旅出版）spa!さんによく出没。舞台プロデュースや脚本、映画コメントもたまに。

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